第37話

「ふん、」


 レオポルドの巨大化した炎の大剣を見て一瞬驚きの色を示したシバであったがそれでも大剣に向け、レオポルドに向け鋭い眼光を飛ばした。


 赤黒く渦巻く魔弾を放つシバ。魔弾は連なる魔法陣を通過する。


「その程度でこの剣がやられるわけないだろうがっ!」


 勝ち誇ったように叫ぶレオポルド。


「フッ、」


 不敵に笑うシバ。五つの魔法陣を通過した魔弾の先に突如通常では考えられないほどの巨大な魔法陣が出現した。赤黒い光の玉はその魔法陣を通過した。


「なっ!?」


 魔弾が一気に巨大化したのだ。突如現れた巨大な魔法陣だけでなく巨大化した魔弾が迫ってくる。


 赤黒く渦巻く魔弾はまるで隕石を彷彿とさせた。


「、、死ね、」


 シバが呟いた。不気味にうごめく赤黒い光の玉と燃え盛る劫火の大剣が衝突した。


「ぐぬぬぬぬ、」


 二つの力は拮抗していたがややレオポルドには焦りの色が見える。


「はああああああああ!」


 叫ぶレオポルド。同調するように大剣は激しく燃え盛り魔弾を押し返す。だがシバも負けじと力を込め押し返す。


 だが一歩も引かぬ攻防の均衡が崩れた。


 シバの全身にうっすらと黒い光が浮かぶとシバは力を開放するように力み禍々しい黒いオーラを纏った。


 シバの魔弾はさらに激しく渦巻き所々で黒い稲妻が放出されている。


 先程までと重みが全く違う巨大な魔弾にじりじりと押されるレオポルドと炎の大剣。


ボキボキボキッー!


 レオポルドの体の節々が悲鳴を上げる。


 ―ピキッ、パリッ、


 炎の大剣にひびが入り始めてからは完全にシバが優勢だった。赤黒い巨大な魔弾が容赦なく迫る。


 ―ピキッ、バリッ、バリンッ!!


 炎の大剣が折れた。勢いを増しレオポルドに迫りくる巨大な魔弾。


「あ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“!」


 レオポルドの体は巨大な魔弾に押しつぶされるように飲み込まれた。地面と衝突し大爆発が起きた。


ドゴーーン!!


 シバは地上に降りレオポルドを探した。だが、レオポルドは見る影もなく辺り一帯に広がっていた森は跡形もなくなっていた。また所どころで黒い火が揺れていてとてつもない力のぶつかり合いであったことを物語っているようである。


 しかし、何も残っていないはずのその場所でシバは背後から何かに拘束された。


 「油断したな、バカめ、」


 背後からは死んだはずのレオポルドの下卑た声が聞こえた。シバが視線を向けるとそこにはあられもない肉片が空中に浮いていた。

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