第8話 〇〇の過去
「もうあんたらの言いなりにならないって、この頃から思い出したんでしょうね。私も」
「……ウンウン。なかなか酷いな。確かに昔そういう施設はあったよ?親の言う事もきかない手をつけられない子が連れていかれてたらしいな。……でも勉強ができないからそこへ入れるって脅すやなんてなぁ……」
「……小学生の時 父親に 勉強教えたる言われて良く強制で教えられましたけど 問題解けないとお前はやっぱ頭悪いって暴言吐かれたり殴られたりしてましたからね」
今じゃ笑い話ですよ。
といいながら笑って見せた。
「うーん、、特にお母さんとかは、精神科には受診したはるん?」
「いや、母親は自分が正しいと思い込んでるのでまず行かないですよ。」
「お父さんは?」
「 父親は以前まで勤めていた仕事を辞めてから 俺は精神が病んでやめた。といって通いだしてたみたいですが。
私にだったらボロカスに言うくせに。しかも、何を思い立ったのか急に自分は隠してたけど子供の頃から運動性チックだったとか言い出して…
その日以降 首を傾けて痙攣させたり……わざとしてるのバレバレなほど不自然な動きを少しでも自分が気に入らない場面になるごとにアピールしていました 」
「そうか。お父さんはなんで病んだといいだしたん?」
「お前とは違って自分は甘えで辞めた訳じゃないってことをアピールしたかったんじゃないですかね?」
思い出すとまた苛立ちが込み上げた。
「 別に父親が精神を病んで仕事を辞めたんならそれはそれでいいんですよ。
あんなんでも
私たち家族を食べさせてくれたには違いないし、会社の愚痴言いながらも それまで一生懸命うちら家族の為に働いてくれてたのだって知ってますから。
今回色々あって
本当にどうしようもないくらい頭にきて
やめたんならそれはそれでいいんです。
でも……父親の態度は嫌い。 」
ここで言ったって何も解決しないのは
もちろんわかっているけど
過去の話を始めると
止まらなくなってしまう。
「今さら言ったって、もう仕方のない事なんですけどね」
過去の両親から受けた
理不尽な不満を言い切った私に対して
先程まで黙って聞いてくれていた
目の前の客が
考え込むような素振りをしたあと
暫くして 口を開いた。
「うーん、難しい話やな。ひょっとしたらようちゃんはPTSDの傾向があるかもしれないね。」
「PTSD?」
「お母さんにされた事やお父さんにされたことがフラッシュバックするんやろ?心に傷を背負った子はみんな心にカサブタを作ってんねん。でも何かをきっかけにそれが剥がれたとき 過去のことを思い出して辛くなるんやて。」
心のカサブタ。
その言葉がジンと自分の身に染みるのを感じた。
「ようちゃんの お父さんお母さんは 過去になにかあった?」
「母は母を出産して直ぐに祖母が他界したそうです。祖母はお嫁に来たのか20歳で23歳で母を産んで他界したと母が口癖のように言ってました。
祖父は居たんですが祖父は甲斐性のない人で我が子を放っておいて自分の女遊びに夢中になってたそうです。
その間曾祖母が母の世話をしていたそうですが
母曰く母が小学校高学年くらいの頃に 祖父が知らない女と、その女の連れ子を連れて転がり混んできたと。
祖父は母に対して「この人が今日からお前のお母さんになる人だ」と言ったそうです。
その継母にも、どうも嫌がらせを受けていたらしく、明らかに自分の子(連れ子)と母を贔屓していたそうですね」
この部屋には
似合わないほど
重苦しい空気で シンと静まり返った。
「うーん……中々複雑やな。そのお母さんにとって継母になる人は、今は?」
「母が中学生になる時に子供連れて出ていったらしいですよ。 今はもう生きてるかすらわからないって母が言ってました。」
「 死 」 より 「 × × 」 が怖いんだ。 あやしいうさぎ @u_sa_gi
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