第6話 きっかけは



「あ、そうそう!今日はようにプレゼント持ってきたんやった!」


そう言いながら客は自分の手提げ鞄の横に置いている紙袋をこちらに持ってきた。


「ようはメロンパン好き?」


お客が紙袋を開けるとそこには、

色とりどりのメロンパンと

それと同時に甘くて

なんとも言えない香りが

鼻腔をくすぐる。



「わぁぁあ!!好きです!!ありがとうございますっ!」



甘い香りと目の前のそれに

営業を一瞬忘れて

本心からの悦びを感じた。


「はは、ようが喜んでくれたら俺は嬉しいわ。そういえば 摂食の方は今は調子はどうなん?」


「そっちは相変わらずですよ……まぁ一時期思えばマシかなって感じです。酷い時は普通食べないようなものまで食べてましたから」


「そうか。少しでもマシなったなら ようも成長したんやな。」


そう言った客は

あっ と声を上げて

また質問を投げかけた。



「そういえば ようはなんで嘔吐できるようになったん? 嘔吐恐怖症で吐けやんで 下剤を使うようになったんやんな。」



「ああ、、高校を卒業したくらいだったかな……確かー……」

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