第4話 全てはゴロゴロする為に!

 目を開けるとそこは知らない天井。


「知らない天井だわ。……嘘よ、知っているわ。今朝も見たし」

〈そんな事より、もう一人のアリシア〉



「あれって只の夢だったのかしら」

〈いいえ。あれは私の記憶。ごきげんよう。もう一人のアリシア〉



 びっくんちょ!!



「やっぱりいるの!」

〈いるも何も私は貴女が目にしているコアジュエルよ〉



「コアジュエル?このさっきからずっと頭の上でくるくる回って周っているこれ?」

〈そうよ〉



「ごめんなさい。実は結構前から鬱陶しかったりするのですけど」

〈あら、ごめんなさいね。そうね、貴女の許可があれば回らなくても良くなるのだけれど〉



「そ、そうなの?でしたらそれで」

〈あら、本当にいいの?ではお言葉に甘えて〉



 するとコアジュエルはアリシアの正面に止まったかと思うとアリシアの体内に潜り込んでいった。



「な!ちょっと!」

〈あら、何かしら〉



「わ、私の中に入るなんて聞いていない!」

〈そうね、言ってないもの。でも許可はくれたでしょ〉



「そ、そんなー」

〈大丈夫よ。体に害は無いわよ。〉



「ほ、本当に?」

〈ええ。恐らく、きっと、メイビー?〉



「いえ、そういうのは要らないのですけど」

〈ふふ、冗談よ。

 そもそも私と貴女では次元軸が違うから干渉しないのよ。

 だから、貴女と私は同じ場所にいても同じではないのよ。

 ……(本来なら。)

 只、貴女は私を観測してしまったの。

 だから此方の次元に私が少し干渉してしまったのだわ。

 いえ、貴女が私の次元に干渉しているのかしら。

 どちらでも変わらないわね〉



「干渉って……私が観測したって何?」

〈そうね、元々は私が貴女達の観測者でしたの。

 それでも、あくまで観測だけでしたのけれど、何故か貴女も私を観測してしまったのよ。

 恐らくですけど貴女と私は別次元の同一存在。

 本来会ってはならない存在。

 でも私は存在証明を持たなかったから似て非なる者。

 だから、私からは干渉は出来なかったハズなの。

 でも貴女は私を認識してしまった。

 きっと同じ存在に惹かれてしまったのね。

 そもそも、私の存在は観測されないとこの次元には存在しないの。

 存在しないものを存在足らしめるのは観測者だけ。

 そして、私の観測者だけが私に干渉できるのよ。

 だから、私を観測してない人には私は見えないし存在もしないの〉



「待って!待って!一欠片も理解出来ないです」

〈ふふ、そうね。まあ要するに私とおしゃべり出来るのは貴女だけって事よ〉



「はあ」

〈そうそう。私、ずっと私の存在意義を探しているの。こうして逢えたのも一期一会ね。せっかくだから一緒に探してくれないかしら〉



「存在意義?」

〈存在理由ともいうわね〉



「存在理由……レーゾンデートル(仏: raison d'être

 えーと。中二病的な?」

〈失礼ね。そんな痛々しい病にかかった記憶はないわよ。と言うか貴女こそ良く知っていたわね。そんな用語〉



「えっ!……えと今はネットが普及していまして、その……」

〈ふーん、成る程。耳年増なんだ。やーらしー〉



「え!エッチなのは見てません!……少ししか」



 耳まで真っ赤になるアリシア。



〈まあ、貴女が淑女だろうと痴女だろうと私にはどうでも良いのですけれど〉



「痴女じゃないです!」

〈私の探し物の手伝いをしてくださるなら、私も貴女のサポートしてあげるわ〉



「うう、スルーされました。サポートって何をしてくださるのですか?」

〈そうね。私この星のデータ収集を結構しているのよ。する事なくて〉



「はあ」

〈情報は力よ。後は……そうね。機動力も攻撃力も上げられるわね。必要なら敵対勢力を殲滅する事も可能よ。むしろ私はそっちが得意分野ね〉



「えーと?それは結局どう言った事になるのでしょう?私、別に強い奴に会い行くとか言って世界最強を目指しいる孤高のストリートファイターとかは目指してはいないのですけど」

〈何を言っているのかしら?この子は。勉強も運動も私がサポートしてあげるって言っているのよ〉



「へ?」

〈だから、貴女の大好きなゴロゴロを毎日しててもチートでてっぺん取れるって言ったのよ〉



「Σ(Д゚;/)/ええ!!」

〈どうかしら?〉



「よろしくお願いします!」

〈……即決したわね、この子。貴方、駄目だこの

 女、早く何とかしないとみたいな駄目女〔だめじょ〕にならないわよね?〉


「そ、そんな事ないですよ?」

〈ぶくぶく太っても私の管轄外なので自己管理だけはしっかりしてね〉



「え!そこもチートでどうにかならないの?」

〈あくまでサポートするだけなんだからそれは自己責任よ。まあ、丸々と超え太った巨漢の女が100メートル5秒で駆け抜けるのもシュール感があって笑えるかもね〉



「ひどいです!!」

〈なら少しは努力なさい。駄女〔だじょ〕!チート頼りでは自滅するのが世の常でしょうに〉



「駄女じゃないですぅ!」

〈敢えて言おう駄女であると!〉



「なんで敢えて言うのですか!」

〈え?ノリで?〉



「ひどっ!何ですか!ノリって!いいですか!良く聞いて下さい!私、こう見えても、やれば出来る子なんですから!」

〈嗚呼、成る程!それは申し訳ない!それって所謂、明日から本気出す的な、でも結局やらない子のセリフですね!分かります。ヤバいですね!〉



「言い方!!(泣)」






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