第14話 衝撃

 秋風達と別れた後、俺はある事を思い出したのだが、帰り道に話す内容にしては少しあれだったので話は家に帰ってからにしようということで、俺とみゆは家へと帰宅した。


「それで? 和哉くんは何を思い出したの?」


「大倉さんのことなんだけど.........」


「だけど?」


 この話をするには若干の抵抗があるのだが、他人のことなので俺がペラペラと話していいわけでもないし.........。けどまぁ、みゆに限って言えば誰かに言い回したりはしないだろうからそこは大丈夫なんだけど、ちょっとなぁ.........。


「少し.........いや、重たい話になるけど大丈夫か?」


「澪ちゃんにも関わること何だよね?」


「あぁ」


「それなら聞いておきたい。澪ちゃんとは友達だから」


「じゃあ、話すけど.........率直に言うと秋風って中学生の時にいじめられてたんだよ」


「.........え?」


 みゆはありえないといった顔をしているが、確かに今の秋風を見ている限りはそんな過去があったようには見えないだろう。けどそれは、秋風が頑張っているからに他ならない訳なんだが。


「.........どうしてなの?」


「うーん.........質問を質問で返すようで悪いんだけど、みゆって秋風のことどう思ってる?」


「澪ちゃんのことを?」


「あぁ」


「澪ちゃんは素直ですごく気が利く優しい女の子だと思うよ」


「あぁ、俺もそう思う」


「? 和哉くんはさっきから何が言いたいの?」


 みゆと言う通り、秋風は素直だし気が利く。それは秋風の魅力の一つだとはっきりと言えるだろう。でもそれが、魅力だけとは限らないのだ。


「今、みゆが言ったことは確かに秋風の良いところだけど、見方次第では悪くもなるんだよ」


「なんで? どういうこと?」


「みゆは秋風のことを素直で気がすごく利く子って言っただろ?」


「うん」


「けど、それって言い方を変えれば、空気の読めないすごくお節介な子になるんだよ」


「!?」


 素直の人ということは、要するに自分に正直な人ということだ。けど、それを悪く言うなら自己中心的な人となるのだ。

 すごく気が利く人というのも、言い換えればすごくお節介な人となってしまう。言い方によっては長所が短所にもなってしまうのだ。


「なんでそうなるの! 仮にそうだったとしても、いじめられる理由にはならないよ!」


「俺もそう思う。それに、長所であることは間違いないしな」


「だったらなんで!」


「秋風って、みゆの言う通りすごく良い奴なんだよ。頭も良かったし、運動神経も悪くない。男子からもモテるとなったら他の女子達からしたら面白くなかったんだろ」


「そんな理由で.........澪ちゃんは何も悪く無いのに!」


 俺も詳しくは知らないけど、そんな感じなんだと秋風本人から俺は話を聞いたので間違いは無いはずだ。

 俺と秋風はそのいじめられてる中で仲良くなるきっかけがあったので、俺と秋風が仲良くなったのも秋風のいじめがあったからというのも皮肉な話だ。


「.........それで?」


「ん?」


「澪ちゃんと大倉さんが関係あるんでしょ.........? 話によっては私、大倉さんのこと許せないよ?」


「むしろ逆だ。大倉さんは秋風の友達だったんだよ」


「そうなんだ.........よかった.........」


 話をし始めてから、初めてみゆに安堵が見えた。まぁ、こんな話をしていて気分が言い訳もないしな。


「俺と大倉さんが中学生の頃に話をしていたというのも、秋風のことについてだしな」


「そうなんだ。.........なんでそんなことがあって和哉くんは大倉さんのこと忘れてるの?」


「いや、それは.........大倉さん。中学生の頃と今じゃ全然違うんだよ」









【あとがき】


どうも! 白浜海です!


早速ですがお詫びです。大変申し訳ないんですが、このままだと和哉くん達が修学旅行にまだ行けなさそうです.........。本当に申し訳ございません。


ひとまず、澪ちゃんと大倉さんの話を進めていきたいと思いますので、この話が一段落してから和哉くん達には修学旅行を満喫してもらいたいと思います。


ですので、今書いている第4章では澪ちゃんと大倉さんのお話を。第5章に入る前に番外編として和哉くんと澪ちゃんの出会いの話を挟んでから、第6章で今度こそ修学旅行に行ってもらいたいと思います!

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