第29話 愚痴
慎也達と一緒にカラオケに行った日から3日が経過した。この3日間も大変充実したものとなっておりました。はい、ありがとうございます。起床、バイト、ご飯、みゆ、寝るのサイクル。本当に幸せな日々だった.......。しかし、そんな素敵な日々ももう終わってしまう。何事にも終わりはあるように今日はゴールデンウィーク最終日なのだ.......。
「はぁ.......俺のリア充生活が今日で終わる.......」
「.......どうしたの和哉くん?」
「今から行くバイトがゴールデンウィーク最後だと考えるとな.......」
「前々から思ってたけど和哉くんって本当にアルバイトが好きだよね?」
「頑張ったら頑張っただけお金貰えるじゃん?」
「現金な理由だね.......」
いや、それ以外に無くないか? 仕事が楽しいだとか、やりがいがあるって言うのはあくまでおまけみたいなものだろうと俺は思っている。楽しくてやりがいがあるならお金が貰えなくてもするのか? と聞けば答えは否であろう。つまり、お金が貰えるからみんなやっているだけなのであってその他のことは基本自分をよく見せようとするやつの戯言なのだ。例外としては小説家や絵師さんなどの自分の趣味を仕事としている人達くらいのものだろう。
「.......和哉くん絶対にひねくれた事を考えてるでしょ?」
「いや? そんなことは無いが?」
俺がそう言うもみゆは全く信じていないのかジト目で俺を見つめてくる。これはこれで中々.......ダメだ俺。それ以上はダメだ。
「あっ、今日のバイトが終わったら飯でも行かないか?」
「行く!」
「何か食べたいものとかあるか?」
「うーん.......今日は和哉くんが決めて」
「そうだなぁ.......」
どうせならみゆと行ったことがない場所に行きたいしなぁ。あと、ゴールデンウィーク最終日ってことで明日からの学校に備えて英気を養えそうなもの言えばやっぱり.......
「焼肉だな」
「豪勢だね」
「ゴールデンウィークも1日以外毎日働いてたんだしこれくらいの贅沢してもバチは当たらないだろ?」
「それもそうだね。私も焼肉でいいよ」
「それじゃあ、バイト終わったら現地集合でもいいか?」
「うん」
よし。これでより今日のバイトモチベーションが上がった。バイト終わりに焼肉とか最高だろう。今日働いた分のバイトの給料がほとんど残らないだろうけど焼肉のために1日働くというのも悪くないものだろう。何かを得るにはそれなりの対価を払う必要があるのだから。
「そんじゃ、そろそろ行くか」
「うん」
俺とみゆは揃って家を出てバイトへと向かう。バイトのシフトの時間は基本的には同じにしており、バイト先同士では少し距離があるが家からバイト先までの距離はお互い同じくらいの距離なので必然的に家を出るのも一緒のことが多くなるのだ。
「おはようございますってあれ? 秋風?」
「.......おはよう黒嶋くん」
俺がバイト先であるコンビニの裏で用意をしようと入って行ったらそこにはどんよりとした雰囲気の秋風がいた。
「あれ? お前、ゴールデンウィークは遊び尽くすからバイトはしないとか言ってなかったか?」
「うぅ.......」
秋風はゴールデンウィークに入る前からゴールデンウィークは遊び尽くすからバイトはしないと豪語していたのだ。その代わりにゴールデンウィークに入るまでは普段より働いたりもしていたはずなのだが.......。
「まぁ、いっか」
「いや、そこは聞いてよ! 私にもう少し興味を持ってあげてよ!」
「なんか、慎也みたいなこと言うな」
「加賀くんと同じにしないで! っていうか、加賀くんにもこんな感じの対応なの? 今なら加賀くんの気持ちがよく分かるよ!」
同じにしないでって言ったり、気持ちが分かるとか言ったりややこしいな.......。つまり、なんだ? 俺は話を聞いてあげればいいのか?
「どうしたんだ?」
「聞いてよ! 今日遊びに行こうって約束してた子がね彼氏ができたからデートに行くんだとか言って今日の予定をキャンセルしてきたの!」
「あぁ.......それはひどいな」
「でしょ! ゴールデンウィーク初日に遊びに行った時に告白されたんだぁとか言って惚気まで聞かされたんだよ!」
「うわぁ.......」
「本当に私が可哀想だよ!」
「自分で言うなよ.......。というか、今日予定がなくなったことは分かったけど何でバイトしに来てるの?」
予定がなくなったのならば家でゆっくりしておけばいいものをどうしてここにいるんだ? 秋風は俺と違ってバイトが大好きだとかそういったことはなかったはずなんだ。
「え? そんなの黒嶋くんに愚痴を聞いてもらうために決まってるでしょ?」
「そんなことのために来たのか.......」
「電話でも良かったんだけど黒嶋くんって彼女がいるでしょ? だから、昨日店長に電話して今日入れてもらったんだよ」
「可哀想に店長.......」
「むしろ、秋風さんのおかげで私が休めるよって喜んでたよ?」
あぁ、それで店長が今日はいないわけだ。まぁ、店長も喜んでいたと言うなら秋風を悪くいうのもおかしな気がするしこれはこれでいいのだろう。それから俺と秋風は時間になったのでバイトに勤しむべくタイムカードを切るのだった。
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