第7話 再確認
「ただいま」
「ばあさん帰ったぞって.......こりゃおったまげたわい。和哉が彼女さんを連れて来とると言っとたが、まさかこんなべっぴんさんだとは.......和哉おめぇ、詐欺にでもあっとるんか?」
「何でばあちゃんと同じ反応なんだよ.......」
本当に俺にはもったいないくらい可愛いとは思うけども、もうちょっと俺のことも評価してくれてもいいのではないだろうか? 仮にも俺の祖父母なんだからさ.......。
「大丈夫だよじいさん。詐欺になんかあっとらん」
「ばあさんがそう言うなら大丈夫なんじゃろうな」
「初めまして。白夢みゆと申します」
「あぁ、こりゃご丁寧にどうも。わしは和哉の祖父の黒嶋隆二じゃ。気軽にじいちゃんと呼んでくれて構わんぞ」
「は、はい.......」
あれはじいちゃんなりの冗談なんだろうけど、みゆには伝わって無さそうだなぁ。本当にじいちゃんと呼ぶのだろうか? みゆがそう言っているのは何となく想像が出来ないなぁ.......。
「和哉。あんた同棲してるんだってね」
「!? .......みゆ?」
「.......ごめんなさい」
「別にこの子は何も悪くないよ。私が言いたいのはね、あんたがちゃんと覚悟があるかってことだよ。何となくでしか話は聞いていないけどねぇ、どうせあんたが家に連れ込んだのだろう?」
連れ込んだなんて人聞きの悪いことを言わないでほしいが、実際そうだから何も言えない.......。けど、みゆを家に連れて来た時から俺は覚悟は出来ている。絶対にみゆを幸せにしてみせるという覚悟が。
「もちろんできてる」
「まっ、あんたならそう言うと思ったよ。それから、最後までその覚悟を貫くんだよ?」
「分かってる」
「なら、問題ないね」
「.......いいのか?」
仮にも俺とみゆは高校生だ。高校生の男女2人で一緒に暮らすというのは倫理的に考えて良くないことであろう。ばあちゃんにバレたら絶対に何か言われると思ってたんだけど.......。
「最後まで覚悟を貫くってことはそれはもう結婚を前提ということだろう? それなら、なんの問題も無いじゃないか」
「結婚!?」
「最後まで覚悟を貫くってことはそういうことだろう?」
「.......それは分からない。けど、俺はみゆを幸せにすることだけは決めている。もし、俺よりもみゆを幸せにできる人がいるなら俺は身を引くし、みゆが俺でいいと言ってくれるならその時は.......」
「だそうだよ?」
「私が和哉くん以外のことを好きになるなんて絶対に無い」
何で俺は17歳というまだ結婚も出来ない年齢なのに何で結婚の話とかさせられているのだろうか? 俺が家を出ている間にばあちゃんとみゆは一体何を話していたんだ.......。そして俺は今ここで何て答えるのが正解なんだろうか? 頼むから誰か教えてください.......。
「なんだい、和哉はもう結婚するのか?」
「いや、まだしないよ。そもそも、結婚なんてできる年齢ですらないからな」
「それもそうじゃな。ばあさん、わしは腹が減った」
「じいさんはあまいねぇ。それじゃ、さっさと用意しますかねぇ」
そう言ってばあちゃんはキッチンの方へと向かって行った。はぁ.......助かった.......まじでじいちゃんに感謝だな。
「.......和哉くんのヘタレ」
「あのぉ.......みゆさん? ひょっとして怒ってます?」
「怒ってない」
「和哉おめぇは、嫁の尻に敷かれるタイプじゃな」
そう言ってじいちゃんは笑っているが、それじいちゃんもだからな? 我が家では完全にばあちゃんがカーストトップであり俺とじいちゃんはばあちゃんの言う通りに動くことが日常茶飯事であった。
それからしばらくすると、
「ほら、用意ができたよ。さっさと席に着きな」
「おっ、美味そうな赤飯じゃな。確かに今日はめでたい日じゃからな。さすが、ばあさんじゃ」
「.......忘れてた」
「美味しそう.......」
用意されたお昼ご飯は赤飯に鯛の塩焼きに赤だしと完全に正月のようなラインナップであった。みゆは特に気にした様子でもないが俺としては非常に居心地の悪い昼食であった。
なお、久しぶりに食べたばあちゃんの作るご飯は大変美味しかったです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます