第6話 イダーの地獄絵図

パーリ王国、美しい街並みだ。


散歩するだけでも楽しくなってくる。


「ここがドルトワーフの爺さんが話していた宿屋だな。」


少し古びているがこの街並みにあった

綺麗な建物だな。


そこそこ人の出入りがあるようで

人気と言う程ではないがなかなか

良さそうだ。


「いらっしゃい!」


「いらっしゃいませ!」


2人の女性がカウンターにいる。


一人は美人だが肝っ玉母さんて

感じの茶髪の髪をアップににしている女性


もう1人はその人をそのまま小さくした感じの

女性で逆におっとりした感じがする。

たぶん娘さんだろう。だが•••。


二人とも美人な上に胸に立派な物を

ぶら下げている。


いかんいかん、目のやり場にこまるな。


「お兄さん一人かい?」


「ああ、一人だ。ドルトワーフの爺さんから

進められてきたんだが。」


「珍しい!あの爺さんから紹介なんて

久しぶりだね!爺さんからの紹介だし

お兄さんいい男だね安くしとくよ。」


「ありがとう。助かる。」


「あたいはメロンだよ、こっちは娘のパインだ。

よろしくね!」


「よろしくお願いしまぁす。」


メロンにパインかまたちょっと目のやり場に•••。

いかんいかん!


「よ、よろしくな。」


「それにしても兄さん、変わった格好してるね。」


「あぁ、遠くの国の田舎町から来たんだ。

そこの民族衣装みたいなものだ。」


いい訳も少しはましになったかな。


「そうかい。まぁドルトワーフの爺さんの

紹介なら間違いないだろうから。近頃は

物騒だからね。さて、部屋はどれにするんだい?」


「そうだな。一人部屋でとりあえず何日か泊まれ

ればいいからな、ご飯はつくのか?」


「ちゃんとつくよ、朝昼晩の3食付きだ!

一週間なら銀貨10枚にしとくよ。」


銀貨10枚ならあるから大丈夫か。


「わかった。先払いでいいか?」


「お!ありがたいね!きっちり

サービスもしてあげるからね!」


「ああ、楽しみにしておくよ!

代金の銀貨10枚だ。」


「ありがとうね!それじゃパインお会計。」


「はぁい。えーとぉ、ひぃ、ふぅ、みぃ

よぉ、いつ、むぅ、なな、やぁ、

このぉ•••このぉ•••」


ど、どうした。とぉだぞ。

数え方がわからないのか⁉︎

大丈夫か⁉︎


「このぉぉおおおおおおお!!!⁉︎」


どうした⁉︎俺なんかした⁉︎

強敵に立ち向かって行く時みたいになってるよ!

それにブルブル震え始めたぞ⁉︎

ちょ、ちょっと目のやり場に困るって!

すごいブルブルしてるって!


「どうしたんだいパイン!何があったんだい⁉︎

え•••えぇぇ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」


ちょ、ちょっとメロンさんまで⁉︎

ブルブルしてるって!そ、そんなサービス

だったんですか⁉︎


「ファッキン貨!!!」


バタン!!!


「ヒャッキン貨!!!」


バタン!!!


倒れたぁぁぁ!!⁉︎

しかもなんとなくデジャブ!!


「誰かぁ来てくれぇ⁉︎メロンさんと

パインちゃんが倒れた!!」


「どうしたぁ!!!!!!⁉︎」


奥から大柄で無精髭を生やしたハゲおやじが

出てきたな。


「なんじゃこりぁ!!⁉︎誰が可愛いうちの

嫁さんと娘に⁉︎貴様かぁぁぁああ⁉︎

いくら可愛いからって⁉︎」


おっさんの奥さんと娘かよ⁉︎

パインちゃん、父親に似なくてよかったな。


「ちがう、ちがう!お金払ったら急に倒れて⁉︎」


「ファッキン、ファッキン」


なんちゅう倒れかただよ!


「ほら、こんな汚い言葉を•••。

何しやがった⁉︎」


「本当だって⁉︎ほらカウンターの上に

銀貨があるだろう!」


「だからってなんで倒れるんだ?

銀貨を見たからって•••。ふぇ?」


なんだ間抜けな顔して?


「白金貨だとぉ!!⁉︎

あんたなんちゅうもんを⁉︎」


周りがざわつき始める。

銀貨の中に間違って一枚違う物がまじっている。


おっさんが慌てて周りを宥め始めたな。


「皆さんお騒がせしてすみません!なんでもありませんからごゆるりとお過ごし下さい。妻と娘さんも

最近忙しかったので、疲れていたみたいです。

もう大丈夫ですので。」


周りの人達も少し気にはしていたが

散り始めた。


おっさんが倒れた二人にかけより

起こしはじめた。


「二人とも大丈夫か?」


「あぁあなた、申し訳ないね。

ちょっと驚いてしまってね。

兄さんもごめんね。」


「びっくりしたですぅ、

始めて見ました本物の白金貨。」


二人ともよかった。

ちょっとおいしい思いを•••こほん!

とりあえずよかった。


「兄ちゃんどっかのお偉いさんかい?

あんまり見せびらかすもんじゃないぜ。

近頃は物騒だからな。」


盗賊でもでるのかよ。


「これそんなに価値があるのか?」


「兄ちゃん知らないで持ってるのかい⁉︎

どうしたんだいこれは?」


「いや•••、モンスターに襲われた人を

助けたらたまたま偉い人でお礼に

もらったんだ。」


そうゆうことにしておこう。


「そうだったのか、兄ちゃんすまなかったな

可愛い嫁さんと娘が暴漢に襲われたのかと。」


人聞きの悪い!よっぽどおっさんの方が

人相悪いわ!


「俺はここの宿屋のオーナーでストロベリーだ

よろしくな!」


なんでだよ!一番名前が可愛いじゃねぇか!

ドリアンとかじゃないのかよ!


「よろしく、俺は勝利だよろしく。」


「かつとし!エド島出身みたいだな!

遠くからはるばるようこそ。」


エド島?名前からして向こうの世界の日本みたいな

ものか。一度行ってみたいものだな。


「わからないことがあったらなんでも聞きな

わかることなら教えてやるからよ。」


「なら、周りはヒーロー、ヒーロー言っているが

こんなにヒーローが多いのか?変なやつもいるし

•••。」


口臭いやつとか。


「知らないのかい、元々は冒険者と

言っていたが、輝星のヒーローが現れてからは

冒険者や少ないが騎士の中にも真似してヒーローと自分達を呼ぶようになったんだ。冒険者ギルドさえヒーローギルドと名称を変えたぐらいだからな。やってることは変わらないけどな。このことは世界共通だぜ。」


だから誰でもヒーローと言ってたのか。


「あぁ、俺の故郷は超がつく程、田舎だったからな

わからなかった。すまない。」


「いやいや、謝らなくていいよ!こっちこそ

すまなかったな。なんでも聞いていいって言ったのは俺だからな。」


「あと、ここはどうゆう国なんだ?」


「ここパーリ王国は、5大陸の内の一つである

タリア大陸の首都だ。この美しい街並みを見に

他の大陸から多くの人がやってくるぞ。

あのエッフェ城にはこの国の王であるリュード•デ•ソクスⅩ世様がいらっしゃる。皆んなが、

愛する優しい王様だ。」


とてもいい国のようだな。


「そしてなんといっても、この国には

輝星のヒーローの1人、ローゼオ•イディナ様が

いらっしゃる!美しいピンクのロングヘアーに

綺麗な顔立ち、赤いルビーのような瞳。そして、あの若さで騎士団長にまで登りつめた強さ。パーリ王国中の男女共あの方に憧れているのさ。美しさでは内の嫁さんにはかなわないがな!」


「やだねぇ!あなたったら!!」


いきなり人前でイチャつくなよ。


「そのイディナ様に会うにはどうしたら

いいんだ?」


イディナという人物とは必ず会わないといけない

まず間違いなく、クソ女神が言ってた5人の1人だ。


「う〜ん難しいかもな、騎士団の募集も今はあって

ないしな。チャンスが来るまで待つしかないのかもな。」


そうか。チャンスを待つしかないのか。


「わかった。ありがとう。何かチャンスが

ありそうなら教えてくれ。」


「あいよー!気掛けておくからな!」


しかし、色々ありすぎて疲れたな。

今日はもう休もう。


「そしたら今日は部屋で休むとしようかな。

部屋へ案内してくれないかな?」


「あいよ!パイン案内してあげな。」


「ふぁい!勝利さんこちらへどぉぞ。」


だがさっきのプルプルを思い出して

眠れないかもな。


「勝利、パインが可愛いからって

手ェ出したら、わかってんだろうなぁ。」


「わ、わかってるよ。」


パインは気にせずスタスタと歩いていく。


「じゃあまた明日。」


「おう!朝飯は声かけてくれたら

準備するからな。」


「わかったありがとう。」


部屋についた、中々いい部屋だ。

綺麗なベッドに机、眺めのいい部屋。


「とても気持ちがいい。明日から

本格的にヒーローとして活動だ。」


まだ夕日が落ちる前だが今日は

もう、寝るか。


ベッドに入ると瞬く間に

深い眠りに落ち始めた。



窓から射し込んできた

光りで目が覚める。


もう朝か?いや、この明るさから

もう昼かな。


よっぽど疲れていたのか、だいぶ寝てしまったな。


さて、窓を開けて外の綺麗な眺めと

空気を吸って頑張るか。


ガチャ。


昨日と変わらず美しい、街並みと

行き交うひとび•••とぉ⁉︎


一旦閉めよう。ガチャっと。


ちょっと待て!疲れてる。

絶対まだ疲れてる。


人々の中に見慣れたやつがポツポツいた。


いや、気のせいだ。絶対そうだ。


もう一度とやり直しだ。ガチャ。


美しい街の景色と

行き交うひとびとぉぉおおおおお!!


さっきより増えとるぅ〜〜〜。


あいつが。


「イダ〜〜〜〜。とりあえず頑張ろ。」


「イダーキック!!!」


「イダーコサックダンス!!!」


なんだ•••この地獄絵図は

どうなってやがる。


急いで下に降りていく。


「ストロベリーさん!メロンさん!

外に黒いやつがいっぱいいる!」


「どうしたんだ勝利⁉︎」


中からストロベリーが出てくるが•••


大柄の黒タイツが出てきた。


お前もかよ!!


「勝利おはよう。もう、

こんにちはかな!ハッハッハ。よく寝ていたな。

よっぽど疲れていたんだな。」


「それよりその格好は!⁉︎」


「これか!よくぞ聞いてくれた!

今噂の、謎のヒーロー•イダーってのらしい

俺は流行りに乗るタイプだからな!

この町の人々が多く救われたらしくてな

今その話で持ちきりだ!」


あいつ悪さはしてなかったのか

よかった。それにしても•••。


「早すぎないか!広まるの⁉︎

まだ1日たってないよな?」


「ああ。この大通りの近くに

新しい商人が入ってきたみたいでな。

いち早く、イダーの活躍に気付いて

近くの暇な主婦等にお金を払って。

急ぎで作らせたらしい。いい時給だったみたいだぜ。やり手だな。」


どこのどいつだ⁉︎やばい。目眩がしてきた。


「大丈夫か兄ちゃん⁉︎」


「あぁ、ちょっと気分が•••。

外の風にあたってくる。」


ガチャ!


「イダ〜〜〜〜。」


さっきよりさらに増えてるがな!!!!


あぁダメだ。クソ、クソあいつだ。

あいつのせいだ。


あぁ神よ、クソ女神よ!!


祈りを込めて、両手の中指を立てて

空に掲げる。


「絶対二度と変身しねぇ。

それと次あったら一発ぶん殴る!」


〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰

side 女神ベルエト


「は〜くしょい!あ〜誰か私が美しすぎで噂

してるみたいですね。」


「勝利のやつ上手くやってるかしら。」

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