第4話 ファッキン貨

「またまた、人を助けしてしまった!

さすが俺様、最高のヒーロー!」


俺様は舞つづける。お腹を弛ませて。

さっきの牛は絶品だったな!

ペロリと食べてしまったよ。


「おっ、あっちにも困っている人がいるな!」


馬車が緑の小さなおっさんの大群に追われている。


「助けてくれ〜誰か〜!」


「イダ〜パンチ!!!(超手加減)」


一発で空の彼方だな、すご。


「ありがとうございました!この先にある

パーリ王国に大事な荷物を運ばないといけなくて

そんな時、ゴブリンの大群に襲われて。

普段はここまでの大群では来ないのですが。」


ゴブリン、マンガとかではみたことあるけど。

実物キモイな。


「それにしても、すごいですね。

ゴブリンの大群を一撃でなんて•••。

輝星のヒーローに引けを取らないじゃないんですか。」


輝星のヒーローか•••俺様の方がまぁ

強くてかっこいいだろうが。


「それじゃ、俺様は行くぜ!」


「あのぉ⁉︎お名前だけでも⁉︎」


「とりあえず頑張る、ヒーロー•イダー様だ!」


おっ!あっちでも助けを求める声が


ほい!っと飛んでいく。


「イダーキック!(超手加減)」


「ありがとうございました!スライムの群れに

襲われて。」


「イダー連続パンチ!(超手加減)」


「ありがとうございます!オークの群れに

襲われて!」


「イダー連続キック!(超手加減)」


「ありがとうございます!ワイバーンの群れに

襲われて。」


「イダーイナバウワー!」


「あ、ありがとうございます。」


「イダーコサックダンス!」


「イダーデコピン!」


「イダーフラダンス!」


「イダーデコピン!」


「イダーの優しい吐息•••」


やばい、もう何しても勝てそう!

俺様、無敵なんじゃね!


(お•••••い••••)


あ、こっちもやばい。

もう出てきはじめた。


「勝利ちゃん、もうちょっと待ってよ!

あと少しだけ楽しませて!」


お、向こうにかわいこちゃんと

おっさんが見えるな!なんか、

服はいい物だけど、なんか見窄らしというか。

今にも倒れそうな感じだな。


「アニー様、大丈夫ですか⁉︎」


「大丈夫ですわトゥーモロ。こんな所では終わって

たまるもんですか!ソレイユ家を復興させる為に

こんな所で倒れるわけには•••」


一人は金髪ポニーテールで、赤いドレスを来た

かわいいお嬢ちゃん。もう一人はタキシードを来た、白髪で大柄のおっさんだ。


よっしゃ行ってみよ!

目の前にかっこよく参上だ!


「なんですの⁉︎目の前に急に砂埃が•••。」


「アニー様下がって下さい!何かいます⁉︎」


「お嬢ちゃん、何かお困りですか?」


よっしゃまた決まった。

どーだ俺のイケメンポーズは!


「魔族⁉︎お嬢様には手を出させません。

瞬の剣!!!!」


うぉ!おっさん、その年でめっちゃ早いな

腰痛くなんない⁉︎でも、俺様からしたら•••


「おっさん危ないよ!!!」


「なぁ⁉︎指二本で止められた!!!!⁉︎」


赤ちゃんのハイハイぐらいの速さにしか感じ

ないな。まぁ他の奴は止まって見えてたけど。


まぁ当たってもおっさんの刀が折れるだけだけど

ね。


「ちょっいと待った⁉︎俺様はヒーロー!

ヒーロー、イダー様だ!!皆して、魔族って

しどいよ〜シクシク。」


「嘘つかないでですわ!貴方みたいなヒーロー

見たことないですわ⁉︎」


イディナちゃんみたいなこと言って。

こんなイケメンを見て。


「だから何もしないって!ほら、両手も

上げてほら!」


「隙あり!!!!瞬の剣!!!なぁ!!?

刀が折れた!!!!」


エッグいなぁ!!!このおっさんエグ過ぎるよ!

俺様じゃなかったら真っ二つだぜ!


「アニー様お逃げ下さい!この魔族、

魔族の中でもさらに化物です!!

私が命を掛けて時間を稼ぎますのでその間に!」


「トゥーモロ!それは嫌ですわ!貴方まで

居なくなったら、わたくしは•••もうダメです。」


ちょっいとちょっいと!何二人で自分達の世界に

入ってんの。勘違いも大概にしないと•••。


「ちょっいと、さっきから本当に

失礼だよ!ヒーローって言ってるでしょ!

俺様も怒るよ⁉︎」


「本当にヒーローなのですか?」


おっさん何言ってんだよ、こんな

イケメン捕まえて何言ってんだか。


「しかし、その格好に、この大業物の刀を折るとは

とても人間とは•••。」


なんつー物騒なもんで切っちゃってんの⁉︎

まぁーたいして痛くなかったのは確かだけど。


「本当にヒーローなのですか?だとしても

何の用なのですか?私達を笑いに来たのですか?」


このお嬢ちゃん、可愛い顔してるけどドンッてしてて威厳があるという感じかな。


「違うよ〜!お嬢ちゃんがなんか困っている

感じだったから、なんか力になれないかなって

思ってさ。」


お嬢ちゃんがなんか手を出して来た。

俺様とダンスでもしたくなったか、手でも

繋ぎたくなったか、仕方ないな、俺様も

罪な男だ。


「お金下さいな。」


「はい〜?」


「アニーお嬢様⁉︎」


何いっちゃってんの?


「私達の事を助けて頂けるのでしょう?

なら、お金を貸して下さいと言ってるのですわ。

先程魔物の大群に襲われ、全財産を失った所ですの。ヒーローと言うのなら私を信じて

貸して頂けないですか?」


「アニーお嬢様!!何を言っているのですか

魔族相手に!!寿命をよこせや、身体を差し出せとかいいかねませんよ!!」


このじいさんはさっきから言わせておけば!!

寿命をよこせなんて呪術師にでも見えるのかよ!


「まぁいいけどね、手持ちもあるし。

はい、じゃあこれあげる!」


銀でも金でもないし安いのかもね。


「銀貨ですか、こんなもんじゃ足り•••って

え•••⁉︎」


お嬢ちゃんどうしたの⁉︎めっちゃ震え

始めたよ⁉︎


「ははははひひひひふふふふファッキン貨⁉︎

ブクブクブク•••。」


ひぇ〜⁉︎お嬢ちゃん泡吹いて倒れた⁉︎

ファッキンいいながら倒れた⁉︎

あまりに少な過ぎて怒りのあまり倒れたか⁉︎


「きさまぁ〜!!⁉︎アニーお嬢様に何をした⁉︎

いままで何があっても気丈に振る舞われてた

アニーお嬢様が泡を吹いて倒れるなんて•••。」


「いや、何も⁉︎ただこれを渡したら怒って倒れた

だけだけど⁉︎少なったかな?まだあと1枚かあるからもう一枚あげるけど。」


「なぁぁぁぁぁぁぁ!!⁉︎腰が抜けた〜!!

貴方は何というものをお持ちで!!⁉︎」


「はいぃ?」


「この白金貨一枚で御屋敷が、買えますぞ

貴方はどんなお金持ちなのですか⁉︎

こんな貴重な物を⁉︎」


これ一枚にそんな価値あんの⁉︎

イディナちゃん、なんちゅ〜もんを!


「私も久しぶりに拝見しました。

こんな物、持ってるのは王族か

貴族ぐらいしか•••。」


イディナちゃんもしかして、

お姫様だったりして⁉︎


「もしくは、若い頃から活躍している

男っ気も女っ気もない有名ヒーローか、

王国騎士の団長とかぐらいですかな!ハッハッハッ!それぐらいプレミアもついてるのですよ。」


そっちだな。


「ですが本当に借りてもよいのですか?

見ず知らずの私達に•••?」


「いいってことよ!困った時はお互い様。

俺様は飯食えて、寝れればそれでいいのよ。

なんせヒーローだし!

それにあんた達、悪人には見えなかったからな。」


「本当にヒーローの方だったのですね。

疑ってしまい申し訳ありません。」


「いいよいいよ。間違えは誰にでもあることさ。」


「アニーお嬢様に変わりまして、

御礼申し上げます。お嬢様がまぁ

こんな状態なので•••。」


「ヒャッキン、ヒャッキン•••。」


あら、今度はお買い得になってる。


「この御恩決して忘れません。何か困ったことが

ありましたらいつでも、私達を頼って下さい。

アニーお嬢様と私、執事のトゥーモロが全力で

サポート致します。」


「あんがとよ!でもまずあんた達の事を

優先にね。色々と大変みたいらだからよ。」


今にも野垂れ死にそうだったからな。


「大丈夫です。この白金貨さえあれば

これを元手に色々な事業が出来ます。

瞬く間にアニー•ソレイユの名前が

広がるでしょう。」


えらいビックマウスだな。

だがまぁそれだけ自信があるということか。

しかし•••。


「その格好で言われても説得力ないけどな。」


「腰が抜けて動けないので町の近くまで、お嬢様と

私をどうか運んで頂けないでしょうか•••?」


「O〜K〜。」


二人を抱え、大きな町の近くまで運んだ。


「本当にありがとうございました。」


「いや、もういいって。あたり前のことを

しただけだからさ。」


(おい•••こら•••)


あ、やべ〜。もう時間ないな。


「じゃあもう俺様は行くね!お嬢ちゃんに

よろしく!」


「あの最後に御名前をもう一度!」


「とりあえず頑張る、ヒーロー•イダー様だ!」


〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰

side アニー•ソレイユ


「う〜ん。ハッ!!白金貨!!」


夢をみていましたわ。私としたことが、

あまりにもショックで

魔族から白金貨を借りる夢を見るなんて。


なんて情けない。


「これからどういたしましょう。てゆうか

ここはどこですの。」


どこかの御屋敷のベッドで寝ていますわね?


「お嬢様、お目覚めですか。」


「トゥーモロ•••。ここはどこですの?」


「商店街の中心近くの屋敷を借りました。

白金貨をちらつかせたら、慌てだして

優位に話を進めるこができましたよ。」


白金貨⁉︎


「本当に白金貨があったのですか!!!?

そしたらあれは夢じゃなくて事実⁉︎」


それなら、あの魔族は⁉︎


「わたくしが寝ている間に

何かされませんでしたか⁉︎

まさか私自身が•••⁉︎」


もうお嫁に行けないかもしれない•••。


「いえ、困った時はお互い様といい

気軽に貸して頂けました。」


はぃ⁉︎


「なんの担保も無しにですか⁉︎」


ありえない•••。白金貨は見せるだけでも

商談を有利に進められほど価値がある物なのに。


「はい。とてもお優しいヒーローの方でした。」


ヒーロー⁉︎


「それに町まで私達を運んでまで下さいました。」


「本当にヒーローの方だったのですが⁉︎

私なんと失礼なことを⁉︎」


「はい。ですのでいつでも私達を頼りに

いらっしゃって下さいとお伝え致しました。」


「そうですか•••。直接御礼を言いたかった

ですわ。」


「その為にも、いまからソレイユ家の

名前をもといアニー•ソレイユの名を

ここから広めていかないといけませんね。

私達の居場所がわかるように。」


「そうですね。ここから這い上がり、

あの方にいつでも恩返しできるように

しておかないと。」


「イダー様と名前はおしゃってました。」


「わかりました。私達の命の恩人と

言っても過言ではありません。

イダー様がいらっしゃった場合には

全力で答えましょう。」


「かしこまりました。」


「イダー様か•••。」


素顔を拝見したかったですわ。


「素顔がよければ、あんなに強くて財もあるし

お婿に来てもいいのではないですか?」


何を馬鹿なことを•••。

答えは簡単ですわ。


「あの格好をする女性とあなたは

結婚できますか?」


「申し訳ありませんでした。」

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