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 さて、そんな少女のことも知らずに


 昼夜問わず、ぶっ殺し続けているミミックだったが


 なんせ彼も、生まれて初めて出会った親愛の相手でしたから


 ぶっ殺しているときも、そうでないときも


 ずぅっと、少女の表情を追い続けていました


 そしたらある日、彼はあることに気がついた


 これだけ少女を喰らっても、少女はちっとも笑ってくれない


 つまり、親愛を表現するのに適切な方法ではなかったということで


 その発見は、ミミックにとっちゃ、ずいぶんと衝撃的だった


 以来、ミミックは少女を喰らっちまうのをぱたっとやめた


 少女は、しばらくミミックの心変わりを「不思議だなぁ」と思っていたけど


 死なないとはいえ、いちいち殺されるのはそれなりに面倒くさかったので


 まぁ、ラッキー程度に思うことにした


 ミミックの方は、それどころじゃあなかったけれど


 生まれて初めて体験する、意識の混乱


 そして認識の混沌こんとんだった


 これまで興味を持った対象は、ことごとく喰らい尽くして


 それが親愛の表現だと、信じてやまなかったものですから


 今まで自分がやってきたのは、なんだったのかと


 自分自身、問わずにはいられなかったでしょうから


 さて少女は、ミミックがまったく動かなくなったので


 これを機に、ひとつ、ぶっ倒してしまおうと様々な作戦を決行しましたが


 やっぱりミミックは馬鹿みたいに強かったので


 両手が血まみれになって、指の骨が粉砕骨折したところで、殴り飽きて、そのまま眠っちゃった

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