ミミックは長い時間をかけて


 数千、数億という生命を喰らった


 そうして彼は、少しずつ擬態のコツを掴んでいった


 古めかしい宝箱の、独特の雰囲気とでもいうのか


 とにかく、もはや彼をミミックだと断定できるやつはいない


 その証拠に、彼は勇者すら喰っちまった


 いくら凄まじい人間だろうと、死ぬ時は死ぬ


 油断していれば、一瞬で死ぬという


 身もフタも無い教訓が、洞くつの中に虚しく響いた


 まったく、神さまがちゃんとしてないから、こういう事が起こっちまう


 そしてこの件をきっかけに、ミミックが恐ろしい化け物に覚醒して


 しかも、人間に興味を持っちまったってんだから


 まったく、ご愁傷様としかいえない

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る