第10話 2歳のハイライトその2

ある日の昼頃。俺は書斎に入った。もちろん本を読むためだ。生きるためには情報は必要である。まず1冊目。『アトランテス王国と周辺諸国』という本を手に取ってみる。アトランテス王国は、およそ300年前に建国された比較的新しい国だということが分かった。周辺国とのいざこざは近年はない。しかし、このクロード領は、危険地帯であり、辺境伯なる人物が、統治することになっているらしい。この国の身分は上から国王、国王以外の王族と公爵が同格、侯爵と辺境伯(呼び名は伯爵)が同格、伯爵。ここまでが上位貴族である。ここから子爵、男爵、この二つが中位貴族であり、この下の準男爵、騎士爵は1代限りの貴族であり、下位貴族と呼ばれている。基本的に、上位貴族が、地方を治める。その下に中位貴族がつき、地区を治める。下位貴族は領地を持たない。これがこの国の基本的事項だ。西側は危険地帯である森が存在する。東側はアルエノールを主神とするナール教国、南側を海、北側をワディズム帝国に囲まれている。

「とりあえず歴史はこんだけわかっとけばいいだろう。」

 他にも算術とかあったが、前世は高校生だったので簡単だった。なので、初めから気になっていた『初級魔法教本』という本をとる。はじめの1ページ目にはこのように書いてあった。魔法の真理を目指すものよ、努力し続けなければ何も見えないままである。と。

 次のページからは、魔法とは、無から有を作り出すものだとか、この世界には魔法属性適性があり、無ければ基本的に使えないが、精霊と契約すれば別だとか(下級精霊と契約している人は少ないが伝説的存在ではない。)、魔法は練習すればするほど精度が上がったり、威力が上がったり、難しい魔法が使えるようになるなど書いてあった。属性は、火、水、風、土、光、闇、無の全6属性であり、アイテムボックスは無属性に当てはまり、難度は上級らしい。

 

 と読んでいると、音がしたので本を戻し、読み聞かせてもらってそうな本を手に取り床に置き、よく分からなそうにペラペラめくる。

「シード、何やってるんだ。」

 グリムが入ってきてシードを見つける。

「お父さん、これ読んで。」

 本を持ち上げながら言う。

「また今度な。ここには危ないものもあるからもう入るなよ。」

 と、頭を激しく撫でて、外に連れていく。

 こんな感じで1年間が過ぎた。

  

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