第9話 二歳ハイライトその1
俺は2歳になった。1年前の外出以降、庭にすら出ていない。では、何をしていたかというと、もちろん短剣を振っていたとか言いたいけど、そんな訳もなく、習慣となった魔力訓練をおこなったり、書斎に入り込んだりしていた。さすがに書斎に行く時は見つかる訳にもいかないのでほとんどいけていない。
入ったことがバレた時のために、俺は本を読んでもらうことにした。もし、入ったことがバレたとしても、本を見にきたという無理はあるが言い訳をすることができるからだ。
早速実行する。
「フローダさん、1回だけおかあさんに読んでもらった本読んで欲しい。」
皆さんはお気づきだろうか。多少タジタジするものの基本的な会話をすることができるようになったのだ。
「いいですよ。『村を救った英雄と精霊』でしたよね。」
「うん。」
「では、早速。これは王国暦142年、レイータ村で起きた奇妙なお話であった。当時Bランク冒険者アイクをパーティリーダーとする後に『煉獄』と呼ばれるパーティーは冒険者ギルドの依頼を受け、レイータ村周辺のオークの巣を壊滅させるという依頼を受けた。その依頼は、ランクCと評される低規模なリーダーの居ない依頼であったのだが、実はオークのリーダーオークキングを頭にもつランクA+といった国難レベルの出来事であった。アイク一行は何も知らないまま、巣へ向かい討伐しようとするが、100を超えるオークに囲まれてしまう。この時、覚悟したが、奇跡の出来事が起こったのだった。アイクの頭の中に、鋭くそれでいて優しい声が響く。「私は、火の中級精霊である。汝、今、力を望むか。望むなら我が声に応えて契約せん。」と。アイクはよく分からないまま契約を結び、こう唱える『我が契約せし精霊よ、我が声に応えて顕現せよ。炎よ、雨となりて、この地を焼き尽くさん、ファイヤーレイン』この言葉と共に周囲一体に降り注いだという。……どうでしたか。実際は村だけじゃなくて国も救ってますけどね。」
「フローダ、他の本は無いの。」
「多分書斎に行けばありますけど、今日はこれでおしまいですよ。」
「はーい。」
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