第5話 一歳になって
魔力訓練と自分で名付けた訓練を明くる日も明くる日も続けた。もう1歳だ。1年間過ごしてみて分かったことがいくつかあった。まず、父はアトランテス王国の伯爵であった。母の生い立ちは分からなかった。次にこの世界の文明レベルについてだ。グランが治めているこの地域をクロード領といい、中世ヨーロッパのような建物が同心円状に広がっている街であった。館は他の建物と大きさに違いがあるものの外観にこれといった違いわないように感じた。まぁ、外には出られないので窓から覗いた程度だが。
後は自分の事を報告しようか。この世界にはMMORPGのようなHPだとかMPだとかいうものは存在しない。レベルも存在しないが、スキルは存在する。3歳の鑑定の儀で、神様からスキルが基本的に1つさずけられるらしい。俺はスキルを持っているらしいし、新たに貰えるのだろうか。ちなみに【使役召喚】はまだ使っていない。理由は簡単だ。少し考えてみてくれ。俺は赤ん坊、スキルを使って問題が起きたらどうしようも出来ない。というか親に迷惑しかかけないじゃないか。今の自分には親がいなければ何も出来ない。生きることすら出来ないのだ。そんな中で好き勝手やって捨てられたらとか考えると怖くて出来るわけないだろう。あと、少し言葉を話せるようになったよ。まだ、もごもごと綺麗な発声は出来ないけど。流石に生後半年でやったのはやり過ぎだったかもしれないが。
「シード、ご飯よ。」
「ま…ま…。」
「シードはもう喋れるようになったのね。さすが私の子だわ。」
——ドドドド——ガチャ
「ミラ、シードが喋れるようになったって本当か。」
「本当よ。ママって言ってくれたわよ。グランより先に呼んでもらえたってことで私の勝ちね。」
「ぱ…ぱ…。」
「お、俺も呼んでくれたぞ。やっぱり、シードは天才だな。」
「やっぱり、将来は優秀な魔術師かしら。」
「いやいや、男なんだから一流の剣士だろ!」
「違うわよ!」………………
ってな風に。
大変だったのだ。やっぱり子としては二人の意見を取り入れたい。でも、俺はラノベの主人公じゃないのだ。やはりどの分野でも、一流になるにはそれ相応の努力を必要とするのだ。もちろん才能が、どちらもない可能性もあるのだが。
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