YORIMICHI
Kaho♡「ねぇ、来月の連休、どっかいかない?」
既読18:04「いいねー 有給使えば5泊はできるしょ」
Kaho♡「台湾?韓国?グアム?」
既読18:05「ボーナスも出るし、イタリア行ってみたいんだよね」
Kaho♡「えー!?行きたいけど、全然日にち足りないでしょうよ」
既読18:05「ひとつの街でゆっくりバール巡りってやつやってみたいの」
Kaho♡「それいいかも♡じゃあ駅前のカフェで話詰めよー」
既読18:05「うん、旅行雑誌もってく」
Kaho♡「じゃあ19時でいい?」
既読18:06「はーい」
カホとは職場の同期。部署は違うが、馬が合うし、家も近いからか、年中一緒にいる。お互い友達も少ないし。
洗面台の前に立つと、うっすらとファンデーションとグロスを塗り、あっという間に彼女のメイクは終わった。
下はストレッチ素材のスキニージーンズ 、上は白地に好きなバンドのロゴが入ったロングTシャツに紺のダウンパーカー。靴は鳥の刺繍が入ったお気に入りのスニーカー。
決してオシャレとは言えないが、誰から見ても及第点の服装。
しかし、色白で端正な顔立ち、バランスの取れたスタイル、長く美しい黒髪は道行く人の目を惹きつける。
待ち合わせ時間よりだいぶ早く着いてしまったので、どこで時間をつぶそうか考えていると、ここから1〜2分歩いたところの雑居ビルにあるらしい輸入雑貨屋の事を思い出し、立ち寄ることにした。以前から、いつ行っても閉まっている、怪しい雑貨屋だと噂を耳にしていた。
薄汚れた雑居ビルの地下2階にエレベーターで降りると、熱く湿った、カビっぽい、むせ返るような空気が流れ込んできた。
エレベーターからまっすぐ伸びた、薄暗く細長い通路のどんつきに、白熱灯に照らされた手彫りの看板が浮かんで見える。
「ON A LAND」
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