6

起きた。

身体。どこも、おかしくない。胸。ちょっとだけ、お花の香り。

「起きたか」

彼。スーツ。

「飯だ。キッチンがないから、即席だけど」

「うそ」

サラダ。トースト。目玉焼き。

「これ、キッチンなしで?」

「いや、誰だってできるだろ」

サラダを毟って、口に放り込んでみる。

「おいしい」

「野菜にソースかけただけだからな」

「うそ。どうして」

この童貞、私よりも生活力あるんだけど。

「あっ」

サラダがこぼれた。胸に。

「こぼしてんじゃねぇか」

「よかった。服着る前で」

「逆だろ。服着てたら身体が汚れることなかっただろうが」

胸を持ち上げて、舐める。

「乳房って便利だな」

「あっ服どうしよう」

シャワー入るときに、破った記憶がある。

「それ着ろよ」

彼が指を指した方向。カーテンに、スーツがかけてある。

「朝めし買ってくるついでに、取ってきた。サイズは合ってるはずだ」

「サイズ。なんで?」

「測ったから」

彼の手。紐。

「私が寝てる間に?」

「いや、起きたら服着るだろ普通」

「重度の童貞じゃん」

服を着てみる。シャツ。スカート。

「ぴったりなんだけど怖い」

「測ったんだからぴったりじゃないほうが怖いだろ」

「あっ目玉焼きとパンまだ食べてないや」

服を脱ぐ。

トーストの上に目玉焼きを乗せる。

「脱いでから食うのか」

「だって服よごれたらいやだし。うわっ」

目玉焼きが弾けた。またしても胸に。

「お前の乳房は幼児用エプロンの代わりだな。大きくてよかった」

「セックスしたことない童貞が子供を騙るな」

パンも目玉焼きも、美味しい。




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