5

起きた。

目の前。彼の顔。

「あれ」

寝顔が、意外とかわいい。

「あれあれあれ」

ちょっとスイッチが入ったかもしれない。彼の皮膚が触れている部分が、ちょっとむずかゆい。

「ん、どうした?」

しまった。身動ぎで彼を起こしてしまった。

「あっ、ん」

腰のあたり。すごくあったかい。

「おっと、すまん」

彼が離れる。

「え」

「いや、一定数の男性はこうなるんだ。朝とか、急に血圧が上がると股間のテンションも上がっちまう」

どゆこと。

「まぁなんというか、血の廻りの問題だから。別に雰囲気になってるわけじゃないから、気にしないでくれ」

「そなの。私は、いいよ?」

「いい、って、何がだ?」

彼の顔。いい、の意味を本当に訊いてきている。

「やっぱだめ。あなたそんなだとずっと童貞よ」

「えっうそ。どこかまずかったか?」

「うん。おやすみ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る