第216話

「さても、如何な事にござりましょうや?」


 今上帝は少し眩しさに慣れて、御瞼を開けられる様になって御聞きになられた。


……大青龍である。大概が、大国に誕生する者に抱かれる。このさほど大きくは無い国に、のものを惹きつける者が誕生致すとは……


 それはそれは、大溜め息をお吐きになられた。

 よっぽど困惑なされて御いでなのだろう、と今上帝が御気の毒に思われる程である。


……を聡い妃は、この私より先に気が付いた。大概は、どの国に行きそうか気をかけておるもので、大国の天主や天帝はの動向を気に致しておる。なぜならが抱かれる者は大方覇王となって、国を大きく致すがそこに生きるもの達や大地を荒して行くからだ。が大概抱かれる事が多い大国の天帝は、此度は私がるこの国に誕生致すを、それはと思うたらしい。ちょっとばかり私の方が、かの天帝より力が大きいのだ。ゆえに天帝は、その馬鹿力で馬鹿デカい青龍を抑え込んでくれ、とここぞとばかりに私に押し付けて参った……と、が申すのだが、私としては天意であろうから、天意のままに致そうと思うたわけだが……私がる我が国に、かの天帝が毎回手を焼いておる、大青龍を抱く天子が誕生致し、我が国を司る事となるならば、絶対その大青龍を抑え、天帝の無力なさまを見せつけたい、と妃が言い出した。全くもって妃の言い出だす事は、難儀な事ばかりである……


 御気の毒に、再び大溜め息をお吐きになられる。


……その為に青龍を抑え込める瑞獣鸞ずいじゅうらんである、をそなたに当てがい、青龍を抑えて今生を過ごさせ、そのまま鸞の婿として碧雅と共に碧雅の生を、大青龍を抑えたまま抱かせ過ごさせ、私のを世界中の神々に、知らしめるつもりであるのだ……


 ……?????……


 余りに唐突過ぎて、否々途方も無い話し過ぎて、今上帝の事で、今上帝にはさっぱり理解ができない。


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