第153話

「そなたほんに、良いものを持っておるの?」


 大高下駄天狗は、マジマジと朱明をガン見して言った。


「さ、さようにございますか?」


 物凄ーく顔を近づけて言うものだから、朱明は身を反らせて答えた。


「実に惜しいぞ?まだまだ伸び代だらけである」


 ……とか言って、再び朱明の唇に指を持って行って、口を開けさせ様とする。

 朱明は大慌てで、ジタバタとして見せた。


「ククク……実に面白いヤツよなぁ……冗談じゃ冗談……」


 とか言うが、実に残念そうな表情を作るから怖くもある。


わたしの気を入れてやりたいが、実に残念である」


 などと呟くから、朱明は気になってしまった。


「はっ?」


「いや……そなたはもはや解放致しておるゆえ、わたしの気など不要だ。しかしながら、まだまだ伸びるゆえ精進致せ」


「解放とは?如何様な事でございます?」


「そなたは妖や物の怪に対して、恐れを抱いておったのだ。ゆえに知らずに拒絶を致しておったがゆえに、その大きく良質なを封印致したのだ。大きなもの達との関わりを拒んでな……だがこの国に在ってあり得ぬ程の大物と、不本意ながら相見あいまみえた。その折にそなたのは解放された。そしてその大物と関わり、それこそ決して望まぬと、対峙致すを決めた只今そなたのそれは、に負けぬ様にどんどん解放しまくっておる」


「さ、さようにございますか?」


「おうよ。ゆえに精進致せ。その力を真実我が物と致せ……」


「ならば今上帝様の青龍を、再び眠らせる事が致せましょうか?」


「……それはそなた次第であろう?何処までそなた自身が、その大いなるに追いつくかであろう?」


「しかしながら時が……時が惜しうございます……」


「ゆえに精進致すのであろうが?……全く……朱の頼みゆえに力を貸したが、実にトロいヤツである……如何してお妃様は、そなたをお選びとなられたのやら……」


 とか言って首を横に振るから、朱明はちょっといたたまれなくなってしまった。

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