第106話
「麒麟?未だに大神様は、麒麟でございますか?……
碧雅は行儀悪く、口に目一杯頬張った飯を飛ばして聞いた。
「……そなたが不憫ゆえ、神と致してもらうのやもしれぬ」
次兄は神妙に言う。
「……女神でございますか?」
モゴモゴと口を動かしながらも、満更ではない表情で言う処は、とても二児の母親には見えない。
次兄は何時迄も愛らしい妹を、微笑ましく見つめる。
「……当然ながらあちらも、大層な騒ぎとなっておろう?早く回復致して戻るがよい」
「……さようでございますが……」
碧雅は再び飯を頬張ると、再びモゴモゴと言う。
「如何致した?なんとも……らしからぬ……」
すると碧雅は、手にしていた箸を卓上に置いて、それは現世では偉大なる次兄を睨め付けた。
「お
「その確証ある物言いは、如何してだ?そなたはずっと、仮死状態であったのだぞ?」
「こちらに戻りまして、気懸りゆえに神泉を覗きに参りました」
神泉とは神山に在る、それは神聖なる水を湧かせる泉で、その泉を覗くと覗いた者の見たい
「アヤツは乳母子の伊織が、后妃を宮中から出した事を、ネチネチと責めておりました……あの気の利いた伊織が居りませねば、
それは、不機嫌極まりない言い方をする。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます