第42話
そして御子が神になるとかで、一夜の内に腹から居なくなった御子を思い、尼僧となって尼寺に入寺してしまった我が娘前の中宮。
それをいい事に、性悪な娘が亡き妻をひたすら思い続けている法皇を、
まっ、娘は御子が神になるのだから、今は仏門に入って幸せだと、交わす文に書いてあるので、それはそれでよかったと思おうとする典侍である。
何にしても、貴族の娘として誕生したならば、一度は夢に見る中宮という、この国の女のトップとなったのだ、幸せな女というべきだと思う。それに、背負っていかねばならない一族というものが、父関白の死によって失くなっているのだから、神の御子を得たと、ちょっとイタイ感じで母としては哀れに思うが、当人が幸せというならばそれでいいと思っている。そんな
「かのお方が出張ってお越しになられれば、東宮は直ぐに決まりましょう……したらば……」
その先は、不気味な笑みを作って口を
つまり言ってはならぬ状況である……と示唆している。
「……その前に、お目覚め頂ければ宜しいのですが……」
伊織の母は目で頷くと、慌てて清涼殿へ向かった。
すると中の様子がなんだか変だ。
伊織が出て来る様子もないし、蔵人が出て来る様子もない。
伊織の母は、恐る恐る御寝所の
すると御側に
これは大変!と清涼殿を探し回り、殿上の間で気を失っている、蔵人達を見つけた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます