第2話 ー蝉時雨ー 祇園御霊会と陵の夏ー
今日は、7月24日
あー、何も考えられないほどに暑い…兎にも角にもとんでも無く暑いのに、
その日、
「お祭り嫌いというか、人混みもの凄く嫌いなくせに、よく祭りに行きたいなんていうよね〜。呆れるわまったく(笑)」
尚子からそう言われて、自分でもどうして
祇園祭に行きたくなったのか、よくわからないので、考え込んでしまう
「まぁそうなのだけれど…何か妙に惹かれるものがあるというか…」
このコンチキチンと鳴り響く祭囃子の音と
独特の雰囲気が、不思議とあの世に繋がっていそうだと思ってしまう -
祇園祭の起源とはそもそも何だったのか?
その時の私はまだ知らずにいる
祇園祭の巡行を観た翌日に、私達2人は
平安時代末に
花の寺
蓮って、こうして間近で咲いているのを観ると優雅で不思議な透明感がある花だなぁ…と、うっとりと眺めていると、目の前にある蓮池がさっき見たよりも確実に大きくなっていた
この景色は、この間春に出掛けた日にみた夢?の中に出てきたあの水面に酷似している
何がどうなって、こうなるの、、
呆然として立ち竦んでいると、
『ホッ…、仕方のないことよ。そなたは見慣れた景色をもう忘れてしまったのか?』
突然、女性か男性か分からないような不思議な言葉使いをする人の声が頭上から聞こえてきた
「おーい、何ぼんやりとしているのよ、
熱中症にでもなっちゃったの?大丈夫ー?」
遠くから尚子の声が聞こえてきた
「また、転寝しちゃってたのかなぁ。
最近、こういうこと多いんだよねぇ。
ふと気づくと、意識が何処かに行っちゃってよく覚えてないの、なんなんだろう?」
「それにね、こういう時に決まって、昔よくかいだことのある良い薫りがしたり、
今日なんかは男性か女性かよくわからないような不思議な声が聞こえてきたの…」
私がそう言うと、尚子は
「それは、暑さで頭がやられてしまったとかじゃない? あー、おかしい!」と
大笑いする
「そんなに笑わなくてもいいじゃない!」
私はむくれた
さらに翌日、またもや不思議なことがあった -
せっかくの夏休み!
夏はやっぱり夜のプールに入りたい!と言うことで、夜でも泳げるプールに向かうために私達は車で京都から滋賀へと向かった
道が思ったよりも混雑しており、暇だから
外の景色を眺めていると、大きな薄暗い森のような不思議な空間があった
「あの森、何だろう?気になるから寄ってみたいのだけど」
私がそう言うと、車を運転していた尚子は
「そうだね、混みすぎてて拉致があかないし、ちょっと休憩するのも良いかも」
そうして、車を近くの駐車場に停めて降りると、小雨が降っていたため傘をさした
そこは、木の立て札を読むと、
かの有名な
「さすがは天智天皇、大きい墓!」
尚子はいつもどおり、元気な声でたわいもない事を話かけてくるが、私にはその空間が 妙に不気味に思えた
『ここでは無い墓は、そなたにとっては大切な場所だったはずだ』
今度は耳元で、最近よく聞こえてくる不思議な声を聞いた
あたりには、あの心地良い薫りが雨のにおいに混じって立ち込める -
普通、この不気味とも思える空間でそんな得体の知れない声など聞いたら、絶対失神すると自分でも思うくらいなのに、それなのに -
何故かその声は聞けば聞く程、耳に馴染んで…
心地良い薫りと共に、懐かしい気持ちや
うっとりとする気持ちにすら、させられてしまう -
本当に一体なんなの〜、
私は暑さで余程疲れていたのか、
珍しくこれ以上考えることを放棄した -
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