第7話

 パンは、伸びも気持ちよく、ツルンと丸まる。ラップをかけ、放置。ふくらむ。高く膨らむ。素晴らしいツヤ。この世のものと思えぬ光沢。あまりの整った姿に、嘆息。

 ガスをぬいて生地を等分に分け、ベンチタイム。パンは頻繁に休むことで、人類に休息の大切さを教えてくれている。

 成形。あの形は、このように丸めて作られていたのか。少し昔の私は、クロワッサンを自分でつくるなんて想像もしていなかった。

 焼成。なんと凛とした言葉。焼いて成る。焼くことで成る。

 電子レンジから香ばしい香りが部屋に充満。レンジから出し、その神々しい姿に目をやると、よく成ってくれたと合掌。

 子が「おーいしい!」という感じでは食べてくれなかったが、食べる様子に涙が滲んだ。

 本当につくるって、楽しい。食べてくれる人を見ると感謝しかない。ありがとう。

 この感動を忘れずつくり続けたい。

 



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