第4章 チンピラから始まる拠点建設
第20話 復讐鬼
デルバジルがチンピラを殺して回っているので、ヴァンパイアのチンピラ達を森に退避させたいと思う。
チンピラ達はデルバジルに殺された事にしようと考えた。
寂れた酒場を
後はオークの血を
デルバジルはまだ上手くやっているようだ。
なぜ分かるかといえばアンデッドが生き物を殺すと、その経験値が入ってくる。
問題はデルバジルがヴァンパイアとばれる事だけだ。
チンピラの血は吸わないように命令したから、ヴァンパイアの仕業とは分からないはず。
チンピラ達には森の奥に拠点を作ってもらおうと、大工道具を渡して木を切りに行かした。
今頃はせっせと森の奥に開拓地を作っていると思う。
俺はせっせと漬物を作る毎日だ。
デルバジルに供給する血液は毎日チンピラが届けてくれた。
チンピラの数が3人に減った。
魔獣に食べられたらしい。
補充しないと。
日課の納品をするために街に行く。
街はどことなくぴりぴりした感じがした。
雑貨屋の前を通ったので話を聞いてみる。
「こんにちは、街の雰囲気が少し変なんですけど」
「ああ、それかい。
「そうなんですか。禁忌持ちもたまには良い事するんですね」
「ちげぇねぇ。チンピラなぞ全員居なくなれば良い」
「そうですね」
俺は店に急いだ。
店の倉庫に行くとデルバジルが既に待っていた。
「ほら血だ。ゆっくり飲め。魔力も注入しておこう。アンデッドに魔力を注入したまえ【ダークマナ・インジェクション】」
ダークマナ・インジェクションはレベル50で覚えた魔法で闇属性の魔力をアンデッドに注入する。
作り直すのと大差はないが、アンデッドが劣化しないから便利だ。
「言いつけ通りに今回は生け捕りにしました」
「おー、マンドラゴラヴァンパイアの実験もしたかったんだよな」
夜まで待ってから、フード付きの服に着替えた。
シャデリーを連れてデルバジルの案内でチンピラが捕らえてある場所に行く。
チンピラ達を捕らえてある場所はあの寂れた酒場だった。
「凄い臭いね」
「オークの血を
チンピラ達は
「こいつらが殺人の罪を犯したか調べてくれるか」
「いいわよ。闇よ罪の記憶を映し出したまえ【クライムビジョン】」
罪の記憶が空中に浮かび上がった。
「こいつら殺人から強姦まであらゆる事をしているな」
「むなくそ悪いわね」
「闇魔法はこんなに有用なのに禁忌なのか」
「神官も犯罪を犯すから煙たいんじゃないの」
「真偽鑑定士はもてはやされているのにな」
「闇魔法は洗脳する魔法もあるから」
「それは物騒だな」
「殺してアンデッドにするのとどっちが物騒かしら」
「そうだな悪かったよ」
俺達の言葉を聞いてチンピラが震え上がった。
教会ではアンデッドにすると永遠に魂が救われないとしている。
チンピラの癖に信心深いのだな。
「今からお前の
指差した男がカクカクと首を縦に振る。
「手のロープだけ外す。騒ぐなよ」
「はい」
後ろ手に縛られたロープを外しナイフを握らせる。
「シャデリーやってくれ。闇よ安らかな眠りを【スリープ】」
俺が手に持ったマンドラゴラヴァンパイアの目が閉じる。
「おい、マンドラゴラを上半身と下半身に分けろ」
いよいよだ。
俺とシャデリーは耳を塞いだ。
切り離されるマンドラゴラヴァンパイアの下半身。
響き渡る叫び声。
失敗だ。
森に生えているマンドラゴラもスリープを掛ければ引き抜けるなんて事はないからな。
眠っても引き抜かれたら起きるって事だろう。
「デルバジル、後のチンピラを楽にしてやれ」
ナイフで次々に首を切られるチンピラ。
「うわ、ついてくるんじゃなかった」
「あいつらの罪を見ただろう」
「それも、そうだけど」
「そもそも、教会が仕掛けて来た戦争なんだよこれは。禁忌持ちってだけで罪がないのに、捕まえて拷問したあげく処刑だ」
「そうね。そこは私にも分かる」
「納得いかない。罪を犯してから処刑なら分かる。でもそうじゃない。いずれ分かるさ。俺は処刑される無実の人間を何人か見た」
「それは私も見たわ。よく考えてみる」
「マンドラゴラの下半身を食べてみろよ。気分も晴れるさ」
「下半身だけ見ると人参ね」
「甘いぞ。それに身体に良い」
シャデリーは
「凄いこれ何。美味しい上にパワーアップした感じ」
「そうだろ。嫌な気分も吹き飛ぶってもんだ。怪しい成分は入ってないよな」
「マンドラゴラ漬けを食べて死んだって人には会った事がないよ。だから、大丈夫じゃないの」
「田舎の出なのか」
「ええ、マンドラゴラ漬けは嫌になるほど食べたわ。不味いのばっかりだったけど」
「それじゃ、うちの祈りの声を初めて食べた時は驚いただろ」
「ええ」
「さてと、こいつらをヴァンパイアにして、さっさとずらかるか」
チンピラをヴァンパイアにして森の開拓に出した。
レベル50になってから少しもレベルアップする気配がない。
これは大物をアンデッドにしないといけないのか。
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