第19話 犯人と対決
今日で夕時の町内パトロールも十日目だ。
路地裏を覗くと。
おう、居たよ。
怪しい人影。
俺は皆を手で制して路地裏に一人入った。
松明に照らされた顔はシャデリーだった。
もしかしてシャデリーが犯人。
そんな事はないだろう。
「どうしたんだ。こんな夜中に女の子の一人歩きは危ないぞ」
「私も役に立ちたくて。さっき、怪しい男とすれ違ったの。挨拶して声を聞いたのだけど、前に聞いた事があったような」
俺もあの男の声をどこかで聞いた事があるんだよな。
シャデリーと俺の接点なんて店しかない。
誰だろう。
ボルチック商店の誰かかな。
若い男なんか居なかったはずだ。
店の近所も中年と老人ばかりだ。
「俺も聞いた記憶があるんだ。何かヒントがないかな」
俺がシャデリーにそう言うとシャデリーはとんでもない事をいい始めた。
「闇魔法に記憶を取り戻す魔法があるけど。代償は三日分の寿命よ。やってみる」
しょうがないな。
「おお、すっぱりやってくれ」
「闇よ。記憶の混沌から呼び覚ましたまえ。【リメンバー】」
そうだ。思い出した。
たしか、デルバジルだったと思う。
シャデリーの前に面接した奴だ。
あいつが犯人か。
住所は経歴書に書いてあったので、デルバジルが住んでいる部屋を訪ねてドアを叩いた。
留守のようだ。
扉を体当たりでぶち破り中に入る。
中は壁一面に飾られたナイフ。
そして、部屋の中央にはなぜか肉が吊るしてあった。
肉には無数の切りきざまれた痕がある。
肉屋に就職したかったのかな。
そんな事はないだろう。
異常性癖って奴だろうな。
うちに面接にきたのは肉を扱っているからか。
こいつが犯人な気がした。
階段を上がってくる足音がする。
ぶち破られた入り口からデルバジルが入ってきた。
「よう、上がらせてもらっているぜ」
「用件は分かっている。夜に会ったからな」
「なんで
「そんな事か。俺は肉を切るのに異常な興奮を覚える
「
「その通りだ。人間の肉を切るのは楽しかったぜ。命は取るなと言われたから殺しはしてないが」
「さて、どうする。大人しく降参するか」
「あんた動物使いだろう。自慢の動物を置いてきたのが
デルバジルはナイフを抜いて刃に舌で舐めた。
マンドラゴラを取り出した。
こいつはゾンビではないヴァンパイアだ。
マンドラゴラのヴァンパイアにとって血とは肥料が溶けた水。
こいつは砂糖を溶かした水に血を入れた物をふんだんに与えてある。
俺はそれをデルバジルに投げつけた。
俺は慌てて耳を押さえた。
デルバジルはナイフで切り払いマンドラゴラは
耳を塞いだのにもかかわらず
デルバジルは即死した。
切り札をもっててよかったよ。
「
俺は腰の水筒をコップに注いで砂糖を溶いて血を混ぜる。
そしてマンドラゴラにそれを飲ませてやった
みるみる下半身が生えてくるマンドラゴラ。
地面に落ちた切り離されたマンドラゴラをみてちょっと
ゾンビが食えるんだからヴァンパイアも食えるだろう。
かじってみた。
おお、甘い。
それに身体の芯が火が点いたように
身体の奥底から活性化するようだ。
これ量産できないかな。
その前にデルバジルの死体をどうするかだ。
良い事を思いついた。
ヴァンパイアにして
こいつの仕業だとばれたら、こいつと一芝居打てばいい。
犯人をやっつけたと恩に着せて、
その作戦で行くか。
「
デルバジルがむっくりと起き上がる。
「
「はいボス」
「この部屋には戻るなよ。魔力を補充してやるから毎朝、分からないように店に来い」
「はい」
さてデルバジルはこれで良い。
マンドラゴラヴァンパイアの量産
切るときに
そうか、野菜のヴァンパイアを作ったら良いんだ。
甘くて美味いなら、とうもろこしだな。
今度試してみよう。
マンドラゴラヴァンパイアを切る時に絶叫を上げさせないようにするには眠らせるのがいいかな。
闇魔法にたしかスリープがあったはずだ。
俺が試すのは恐いな。
たぶん無実の人を殺したような奴もチンピラにはいるだろう。
そういう奴なら心も痛まない。
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