第13話 英雄級にレベルアップ
辺りにオーガの
オークが3メートルぐらいだが、4メートルの巨体が何倍にも感じる。
こりゃ少し手に余るかもな。
見るとジュサの顔も青い。
世界樹に辿り着けばレベル50という所で俺達はオーガと遭遇した。
オーガのパンチの一撃で
おいおい、一撃かよ。
「ジュサ、オーガに格を下げる呪いを掛けてくれ」
「ええ、かの者の格を下げたまえ【カース】」
でも少しも弱くなった気がしないんだな。
オーガに対して肉弾戦はきつい。
どうしたらいいかな。
「ジュサ悪い。呪いを停まれなくなる呪いに切り替えてくれ」
「ええ、かの者は停まれない【カース】」
オーガがころりと転がった。
しかし、すぐに立ち上がる。
呪いが効かないのかそんな馬鹿な。
いや少し踏ん張りが利かない感じだ。
効いてはいるが効果が薄いって事なのだな。
猛スピードで車にはねられたみたいな
どうするよ。
オーガは俺達を見て
あがかなくてどうする。
俺は
残ったもう一本は宙を飛ばしフェイントに使う。
そして、オーガの脛に
一撃で折れ曲がる
くそっ万事休すか。
オーガの連打を俺はひらひらとかわし続ける。
駄目だ。
これではジリ貧だ。
考えろ起死回生の一手を考えるんだ。
弱者が必ずとも弱いとは限らない。
蟻が象を倒すという
考えていたのが悪かったのだろう。
オーガのパンチがかすってしまった。
俺は錐揉み回転して倒れた。
「サクタぁー。オーガ、許さない。呪ってやる。かの者は即死する【カース】」
口の中に土の味がする。
オーガをみると一瞬硬直した後、何事なくジュサに歩み寄った。
辞めろー。
そうだ土だ。
土っていうのは菌の塊だ。
菌には厄介な物も含まれる。
体を蝕み殺すような。
「細菌の屍骸よ、凶悪なグールとなれ【メイクアンデッド】」
地面から黒い霧が立ち登る。
そしてオーガを包んだ。
「ぐおぉぉぉん」
オーガが苦しみ始める。
オーガの肉は膿み
ドスンと倒れて、最後は骨だけになる。
それもしばらくしてサラサラと崩れていった。
俺は骨折が無いか調べながら立ち上がった。
打ち身はあるみたいだが、他は大丈夫な感じだ。
「あれ何!? ひょっとして私、
「あれは俺だよ。俺の力だ」
「そんな、恐ろしい力があるの」
ああ、この世界の人間は細菌を理解してないのか。
よく考えたら野菜の漬物だって死体術士が試さない訳がない。
鎧に見失わせる呪いをかけたのと一緒か。
認識しないと駄目って事なのだろう。
よく考えたら俺ってもう無敵。
いや、治癒魔法や光魔法には防がれる気がする。
この細菌アンデッドに名前を付けるか。
死を運ぶ空気。
運ぶ空気なら風。
風なら
「秘密の力だ」
「そう、あんな事が起きるなんて。私達ってやっぱり禁忌なのかな」
「包丁だって人は殺せる。ようは使い方さ」
「そうね」
俺はアンデッド達を回復して、もうトラブルはごめんだと先を急いだ。
世界樹には相変わらず人が沢山いる。
「お疲れ様です」
「またあなたですか。本当に渡した実はエリクサーになっているんでしょうね」
「疑うなら問い合わせてみたらどうです」
「良いでしょう。あなたの顔は完全に覚えましたから。後で問い合わせて届いていないとなったら、覚悟して下さい」
「お好きなように」
世界樹の実、十個を処理して瓶にいれた。
そして。
「世界樹の実よ、酒を纏い、砂糖の武器を取って美味い酒になれ。【メイクアンデッド】」
脳内に一際大きく響くファンファーレ。
「ジュサ、やったよ。遂にレベル50だ」
「おめでとう。覚えたのはどんな能力なの」
「ヴァンパイアを作れる」
「悪夢の代名詞でしょ。たしか都市を丸ごとアンデッドに変えたとかいう。あのヴァンパイア」
「違うよ。あれはトゥルーヴァンパイアだよ」
「どう違うの」
「ただのヴァンパイアは少し強くて血を吸うだけ。血を吸って仲間を増やせない。霧にもなれないし」
「そうなの。でも強いんでしょう」
「そうだな。リビングアーマーより確実に強い」
さて、何を素材にヴァンパイアを作ろうか。
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