僕がいた偽り

僕は嬉しかったんだ

ここじゃない世界が

手に取るように分かったんだ

僕は行く

今は触れられない世界へ

この肌で感じるんだ


「こっちへ来いよ」

と言ってくれた

あの仲間たちのいる世界へ

ここじゃない世界が

あの向こうに広がっている


ずっと待っても電車が来ない

どうしたんだ間に合わない

早く行かなきゃ

もう待っていられない

タクシーで行こう


タクシーなんて見たことがない

だけどきっといるはず

おかしいな


ならば歩いていこう

あの向こうに世界があるなら

歩きだっていい


そうだここだ

ここから先はないと思ってた

待てよ進めない

何故だ進めない


よく見ると

この先は人もいない

家もない

ただのハリボテだったのか


仲間からの声が聞こえる

「まだ来ないのか?」

「早く来いよ」

「待ってるぜ」


嘘だ嘘だ

そんな仲間最初からいやしなかった

僕が勝手に作った妄想だ


またあの小さなハコに戻ろう

結局変わらない日々がまた始まる

妄想ももうやめよう

僕は仲間との繋がりを切った


しばらくして

僕は仲間の声を思い出していた

そこには手の届かない

光に満ちていて

眩しい笑顔が並んでいる


ねぇ

僕がそっちの世界に行くのは

いつになる?


このハコは

僕を出してはくれそうにないね


仲間の輝きは

暗闇の底へ消えて

もう思い出せなくなってしまった

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