第4話 カメラとモニターの比喩
ここにカメラ4台あるとしよう。そして、モニターが一台ある。
カメラはそれぞれA~Dまで記号が付いている。
ただし、重要な原則があって、カメラAのみがモニターに映し出すことが可能である。B〜Dまでのカメラは映しているが、それはモニターには映らない。
さらに、分かりやすいように、カメラは円になってそれぞれを映していることとしよう。
さて、ここに一つの疑問が生まれる。なぜこのモニターにはカメラAのみの映像しか映らないのかということだ。B、C、DもあるというのになぜモニターはAしか映さないのか。カメラAまたはそのカメラマンは考えている。最初から最後までAの映像しか映さない。どのカメラも映してはいるし、また良い映像を撮ろうと一生懸命になっている。なのに、モニターにはAの映したものしか映らない。
さてここに第二の疑問が起こる。なぜ、Aなのだろうか、Bではなく、CでもなくなぜAなのかという、疑問なのだ。そしてAが壊れでもしたら、この作品はこれで終わってしまうのだ。
なぜAにこだわり、Aが選ばれたのか、つまりこれが不思議で仕方がないのだ。
さらに進んで、今度は宇宙を、この世界をAは映していたとしよう。Aがやがて映すのをやめた時、視聴者はその美しい映像を2度と見ることはできなくなる。視聴者は闇の世界に入ってしまうのだ。それにしてもこの視聴者とは一体何者なのであろうか。いや、視聴者すらも存在しないで、ただモニターは映し続けているのであろうか。
自我の疑問はこれに囚われたものを、深い闇の中に沈める。しかし、幸福はここから湧き上がってくるのだ。
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