第12話 長かった1日の終わり


 市場を出た俺は商業ギルドの前に来ていた。

 そして、扉を開けて中に入って行った。

 すると、入った途端に


「あ、シュンイチさん。後で伺うのでイスの方で少々お待ち下さい。」


 マリアさんがすぐには自分に気づいて言ってくれたので、言われた通りにイスに座って待っていた。


 それから待つこと10分。


「お待たせしました。シュンイチさん。ではこちらに着いて来て下さい。」


 俺はマリアさんのあとをついていきある部屋の着いた。


「中へどうぞ。」


 中に入ると打ち合わせ室みたいな部屋だった。


「そこにお座りになってください。それではすぐ戻ってくるので少々お待ち下さい。」


 またマリアさんは去っていった。

 だが、すぐに戻ってきた。しかし一人ではなかった。マリアさんと一人の女性がいた。


「シュンイチさん、ご紹介しますね。この方は当ギルドの副ギルドマスターのオリヴィアさんです。」

「どうも、初めましてオリヴィアです。以後よろしくお願いしますね。」

「シュンイチです、よろしくお願いします。」

「それではシュンイチさん、早速ですがうどんを食べさせて貰ってもよろしいですか?」

「はい、こちらです。どうぞ。」

「では、頂きますわ」


 オリヴィアさんは品をよく食べていた。なぜかマリアさんも食べていた。気に入ってくれたのかな。おや、食べ終わったみたいだな。


「ごちそうさまでした。大変美味しかったです。マリアが騒いだのも分かりますね、これはそれほどの価値があります。シュンイチさん、このうどんを商品登録してみませんか?」

「商品登録ですか?」

「はい、このうどんは真似しやすく美味しいときています。これでは類似品が多くなってうどんの価値が下がると思われます。そうなるとシュンイチさんにも被害が出ます。なので商品登録をしてそれを防ぎます。それに利点としてうどんのレシピを売りにだして、その利益はシュンイチさんに払われます。利益の一部はギルドが貰います。それでいいのであれば登録してみませんか?」


 なるほど、いい制度だな。元々うどんのレシピは教えるつもりだったしな。これなら安全だしお金も手に入るから登録しようかな。


「登録します。よろしくお願いいたします。」

「ありがとうございます。これが契約者になります。ここに署名をお願いします。」


 契約内容をしっかり見た俺は署名をした。内容的にはこちらに損はない感じだった。


「では、これで契約が成立しました。レシピをこれに書いて明日またここの来て下さい。市場が終わってからで構わないので来て下さい。」

「わかりました。今日と同じぐらいに来ますね」

「ありがとうございます。ではまた明日お待ちしております。マリア、下までお送りして差し上げなさい。」

「かしこまりました。では、失礼します。シュンイチさんこちらにどうぞ。」

「じゃあ、失礼しました。」


 俺たちは部屋を出ていった。オリヴィアさんはしっかりとお辞儀をして見送ってくれた。


「シュンイチさん、無理を言ってすみませんでした。」

「いえいえ、元々うどんのレシピを配る予定だったのでこちらにしても嬉しかったです。」

「それは良かったです。シュンイチさんに申し訳ないと思っていたので嬉しいです。」


 それからマリアさんと少し世間話をしてから俺は宿へと帰って行った。




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 宿へと帰ってきた俺はすぐに食堂へと向かって行った。

 すぐに席に座るとマルカさんが来た。


「お帰りなさい、シュンイチさん。お疲れ様でした。どうだった売り上げは?」

「思っている以上にうどんが売れましたよ。

 そのあとギルドに行って商品登録をしてきましたよ。」

「あら、それは良かったわね。それに商品登録ねぇ。売ってすぐにそれになるなんてすごいわねぇ、普通はあんまりないんだよ?誇れることさね。それで何頼むんだい?」

「そうなんですね!ありがとうございます!

 じゃあ、今日のオススメとおつまみを少しにエールを下さい。」

「はいよ!少し待っててねぇー。」


「はい、お待たせしました!今日のオススメのオークステーキとおつまみのアール貝のワイン蒸しにエールです。」


 俺はまず冷えたエールをのどに流した。

 くぅ~~~~~~!!仕事のあとエールは最高だなぁ。

 ワイン蒸しもオークステーキもエールに合うわ!!


 あらからエールを2,3杯頼んで飲み干した。

 すると、入り口からバンガさんたちが仕事を終えてやって来た。


「おう!シュンイチ!飲んでるな。俺たちにも付き合えよ!」

「わかりましたよ!少しだけですからね。」

「すみません、いつも隊長が迷惑をかけてるみたいで。」

「いえ、大丈夫ですよ。慣れてますから。」

「おうおう、それで!店はどうだったよ?上手くいったかい?」

「ええ、お陰様で予想よりも売れましたよ。」

「そうか、それは良かったぜ。よし!飲め飲め開店祝いだ。おごりはしないがジャンジャンと飲め飲め!ガハハハ!」

「なんですかそれ!まぁ付き合いますよ。」


 それから俺はバンガさんたちと飲んでいった。

 バンガさんたちの飲み会はいつも2時間ぐらいで終わる。衛兵だからなのかいつも備えているらしい。


 それで解散になったので俺は部屋へと戻り明日の準備をしてから眠っていった。

 これで長い1日が終わっていったのだった。


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