第11話 思っている以上でした

 マルカさんとダンさんが帰って行ったあとは1時間ぐらいたっただろうか。誰一人お客が来ていていない。隣のダロイさんのところはお客がたくさん来ていた。

 やっぱり串焼きは不動の人気があるのだろう。それにダロイさんのやつが人気もあるのかも知れない。


 暇だなぁと思っているそんなのとき、たいぼうのお客さんがやって来たのだ。


「よう!シュンイチ。ちゃんとやっているか?」


 やって来たのは俺が最初に会った門番の人だ。名前をバンガさんと言う。

 時々、俺が泊まってるやすらぎ亭の食堂にやって来る。結構面倒見がいいおじさんなのだ。

「やってますけどバンガさんで三人目ですよ。」

「まじかー、女将さんとダンのおやっさんは来たんだろ?」

「はい」

「なるほどな。だからあんなこと言ってたのか。さっきなおやっさんと会ってなシュンイチが屋台を始めたから行ってこいって言われたんだわ。それに美味しい物が食べれるとも言ってたな。おやっさんがめっちゃ絶賛してたわ。普段誉めることなんかないのによ、ガハハ!!。そういうことだからうどんってやつを1つくれや。」

「はい!ありがとうございます。・・・どうぞ!うどんです。銅貨4枚になります。フォークで食べてくださいね。」

「銅貨4枚な。ありがとさん。じゃあ早速頂くわ。」


 モグモグモグモグ・・・


 バンガさんも無言で食べてる。

 やはりバンガさんも数分で食べ終わった。


「ごちそうさん。器返すわ。」

「はい。」


 何故かバンガさんが静かだ。

 だけど静かなのは一瞬だった。


「・・・おい!シュンイチ!これメチャクチャうめぇじゃねぇか!おやっさんも誉める訳だ。こんなのが銅貨4枚で食えるなんてよ!」

「ありがとうございます。口に合って何よりです。」

「おう。これは衛兵のやつらに宣伝しなきゃだな。じゃあな!シュンイチ!また来るわ。夜には宿に行くから話聞かせてくれや。」

「え!宣伝するんでか!ってちょっとバンガさん!!・・・行っちゃった。忙しい人だな。いつもだけど・・・」


 それから時間が経ち、屋台にはちらほらとお客さんが来ていた。

 みんな食べるときは静かに食べていく。不思議に思うのは俺だけか?

 お客さんが器を返しにくると、

 ""今までに食べたことがない""

 ""美味しすぎる""

 ""この旨さで安すぎます""

 とみんな言い方は違えど美味しいと言ってくれている。こんなに嬉しいことはないよ。


 それから昼になりさらにお客さんが来た。

 中には衛兵の人がいたりもした。聞いてみるとバンガ隊長に言われたと。ほとんどがそれだった。言っとくとバンガさんはこの町では結構偉い人なのだ。見かけに人を判断してはいけないな。

 衛兵の人たちはうどんを気に入ったらしくまた来ると言って帰って行った。

 そのあともちまちまとお客さんが来ていた。途中休憩を入れて、隣のダロイさんの串焼きとうどんを食べた。

 ダロイさんの串焼きは美味しかった。

 伊達にダロイさんの屋台に人が来るのもわかる気がする。

 休憩後、屋台を再開した。再開した途端にお客さんが来てくれた。とても嬉しかった。


 それからうどんを売って行くと、

「こんにちは、シュンイチさん。精がでますね。」

「!、こんにちは、マリアさん。どうしたんですか?」

「はい、しっかりとやっているかどうか商業ギルドが判断するために視察に参りました。シュンイチさん、今のところの収益はどうですか?」

「そうですねー。今のところ若干の黒字ですかね。」

「それならよかったです。では、シュンイチさんが売っている物を試食させてください。もちろん、代金はお支払いするので大丈夫ですのでご心配なさらずに。」

「わ、わかりました。ちょっと待ってください・・・、出来ました。どうぞ、うどんです。熱いので気を付けて食べてください。」

「ありがとうございます。では、いただきます。」


 マリアさんもやはり静かに食べていった。

 美人が食べるとこは絵になるなー。

 そう思っていたら、


「シュンイチさん!!これ、美味しすぎます!!このままだと少し問題が出そうなので終わったらギルドの方に来て貰ってもいいですか?それとうどんを2つ用意して貰えると助かるんですが大丈夫ですか?」

「え、ええ、大丈夫ですけど。どこに問題が出そうなのですか?」

「それは話が長くなるかもしれませんのでギルドの方でお話します。では、私は帰りますので、ギルドの方で待ってます。」

「はい、わかりました。」


 マリアさんは帰って行った。

 見てると早足で帰って行った。

 なにをそんなに慌ててるのかさっぱり分からない。


 それから屋台の方は順調にお客さんが来てくれていた。

 有りがたいことだ。



 

 夕刻の鐘が鳴った。これで市場も終わりだ。

 俺は後片付けをして、洗い物をする(まぁ、生活魔法の浄化で洗うんだがな)。

 後片付けも終わり、屋台も含めてアイテムボックスに入れた。アイテムボックスのことは帰るまで忘れていた。


 よし!マリアさんにも言われたし商業ギルドにでも行くかな。

 俺は市場を後にしてギルドへと歩き出して行ったのだ。










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