第4話 やっべ。
『昼飯も別々だな・・・』
『ぴえん』
ぴえんって何?晴人は少し困惑しながらメッセージを返す。
『ビデオチャット、繋ぐか?多少なりとは一緒に食えるだろ』
『それ名案です!!じゃあちょっと場所さがします!』
『おう、じゃあまた繋ぐわ』
一連のメッセージを終えて、ふと昼ご飯は何にしようかと晴人は思う。
「晴人ー!弁当作ってきたぞー!」
「夏葉か!?すまねぇ、恩に着る!!」
「お!?じゃあ一緒にごは」
「悪い先約が!!」
それだけ言い残し、晴人は風のように走り去る。まるで寒冷前線の雨のような一瞬の出来事であった。
「えー・・・一緒に食べようと思ったのに・・・」
夏葉が頬を膨らませながら、晴人の出て行った後の扉の方を向いて固まっていた。
「うーっし、ここなら誰も来るまいて・・・」
校舎裏、日陰と日向のコントラストが美しいこの場所は、背の低い雑草が生い茂り芝生のようになった、晴人のお気に入りの場所。
晴人以外に来ている人を見たことが無いので、おそらくこの場は晴人しか知らない。
一ヶ月に一度、日当たりの良い日には授業をサボって昼寝をするくらいお気に入りなのだ。
「よしよし、んじゃ繋いでっと・・・」
ビデオチャットアプリを立ち上げ、夢月を繋ぐ。
『あ、晴人さん!!』
「おう夢月、良い場所あったか?」
『はい!!晴人さんを呼んだあの場所です!!』
あそこかよ!?あそこ日当たり悪いから足場悪いじゃん!!
晴人は思わず叫びそうになったが、そういえば夢月は吸血鬼、日当たりが悪いくらいがちょうど良いのだ。
「足下、どうなんだ」
『ぬかるんでますー・・・でも花壇があったのでそこに腰掛けてます!!』
「おーよかった・・・お前の事だからうっかり転んでスカートに泥べっちゃりとかあり得るからな」
『うわぁーお・・・』
想像しただけで二人は恐ろしさで血の気が引いていくのが分かった。
まぁ、とりあえず昼飯が先だという事で二人とも弁当箱を開け、昼食に入る。
晴人の高校では学食か弁当かが選べる。
学食は質は良いのだが量が少ない。そして座席が少ないので争奪戦は必至。
その点割と使い勝手の良い弁当の方が好まれる。
お互いの弁当を見比べながら食べる。
好きな人の顔を見ながら食べる昼食は美味しさ倍増と感じるのは誠であった、と晴人は感涙しそうになる。
「うめぇ・・・うめぇよぉ・・・」
『ど、どうしたんですか、晴人さん!?』
「うーまーいーぞー!!!」
『は、晴人さぁん!!??』
そう、ここで晴人が叫んだのが良く無かった。この叫びが、悲劇の始まりだった。
『あっ!!あーっ!!』
画面越しに聞こえる叫び声。
「ど、どうした!!」
画面は二転三転、用はスマホを驚いて取り落としたのだろう。
そして、ようやく止まった画面に映し出されたのは――――
夢月の、スカートの中だった。
肉感溢れる太もも、大事な部分を隠す三角形の布は真っ白。男子高校生として抗いがたい欲求とえもいわれぬ背徳感、そして謎の優越感が一部に集中する。
『は、晴人さん!?見ないで、見ないでぇええ!!』
1秒後、画面が暗転。
3秒後、画面復活。
画面に映った夢月は目を真っ赤にし、涙目でこちらを向いていた。
『見ましたか!?見ましたよね!?』
そりゃあ見るだろうこちとら男子高校生だぞと言ってしまいそうになるがぐっと飲み込み、平静を繕って
「見てねーよ」
『絶対見てたこの人!!!』
バレてた。
ちなみにこの後晴人はムスコが中々収まらず悶々としたという。
赤崎さんは吸血鬼 白楼 遵 @11963232
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