第2話 こんな夜中に告白かよ。
「おーい、起きてるか・・・?」
『あ!!起きてますよ!!』
「わかった!分かったから叫ぶな!!耳がおかしくなる!」
夜11時。
昼の内にLINEやメアドを交換し、先ほどまでひたすらLINEを打っていたのだ。
そんな中赤崎から『電話したいですー!(>_<)』とのメッセージが入ったのでこうして電話をかけたのだ。
一応返事として『了解、少しまって』
と打ったのだが既読さえつかなくて少々怖かったのだ。
こうして電話越しで話すだけでも、少し顔が赤くなる。
「・・・」
『・・・』
気まずい沈黙が過ぎる。
話題も無いのに電話をかける事が、これほど恐ろしい事とは思わなかった。
世のリア充達のコミュ力に脱帽する晴人だった。
『あ!!今日、晩ご飯がエビチリだったんですよ!!』
「中華か、洋風とかでは無いのな」
『うちはお父さんがおいしい物を食べるのが大好きなので、そういうしきたりとかは無いですー!』
向こう側から聞こえる楽しげな声に、ほっこりする晴人。
「そういや、なんで赤崎は俺に告ろうと思ったんだ?」
電話越しの声が、ピタリと止んだ。
きっかり3秒フリーズした後、少しずつ話し始めてくれた。
『私、こんな体だから体育とか受けられないんです』
「・・・そうだな」
体育の授業中は日傘はさせない。故に、体育の授業は常に見学。
『その所為か、凄く運動神経悪くて、ドジなんです』
「確かにな」
『即答しないでくださいよ!?』
ドジなのは身を以て知っていた。
『・・・でも、そのドジをする度に晴人さんが助けてくれたんです』
「え・・・?」
そういえば。
去年移動教室などで移動したりする際しょっちゅう書類や教科書をぶちまける子と出会っていたが、まさか赤崎とは。
晴人は己の鈍さに落胆する。
『その頃から、私は晴人さんの事が好きでした。だから、一緒のクラスになった事を機に思いを伝えようと思ったんです』
「そうか・・・」
「『・・・・・・・・・』」
あぁ、他人の恋話なら幾らでも聞いていられるのに自分の事となるとここまで恥ずかしくなるのは何故なのだ。
晴人は悶絶しながらベッドの上で幾度となく寝返りを打つ。
『あ!私、晴人さんとしたい事があるんです!』
唐突に赤崎が声を発する。
『私、晴人さんと一緒に日傘無しで外を出歩いてみたいです!!』
「・・・でも、焦げるんじゃ」
『好きな人とずぅーっと過ごすと、日光に強くなれるってお母さんが言ってたんです!!だから、私は晴人さんと一緒に暖かい太陽の下でお散歩したいんです!!』
「はは、あ、あはははははははは!!!」
『笑わないでくださいよぉ!!!』
きっと向こうでは涙目になっている事だろう。
(ほんっと、赤崎・・・いや
そういった争いだったり、特殊すぎる事を望まない、普通の願望。
なんとも夢月らしいと、晴人は笑ってしまったのだ。
「任せておけ、俺がしっかり歩かせてやるからよ」
『本当ですか!?』
「あぁ・・・だから、改めて俺と付き合ってくれるか?」
気づけば時刻はもう12時。
すっかり夜中なのに、まだまだ目が冴えている。
そして、ここから二人の夜が明ける。
『勿論ですよ!!断るわけ無いじゃないですか!!』
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