第2話 他人を悪く言うな

人を貶す、人を馬鹿にする、人を見下す。そういった行為は実は他人ではなく、自分を悪く言うことだと知ってほしい。人を悪く言う時、実は言われた人だけではなく自分の足すらも引っ張る行為なのだ。しかも、言われた人は引っ張られる足を振り解くことはできるが、言った自分は自分の足を振り解くことはできないからだ。なぜなら、人を悪く言う行為は「人は自分より優秀で、自分は劣等。だから、その人と一緒にもっと劣悪になろう」という行為なのだ。

「人を呪わば穴二つ」。人を呪い殺そうとすれば、それは自分にも返って自分も死んでしまう。結果として墓穴が2個必要になるということわざ。これはことわざになるだけあってとても的を得ている。人を悪くいう行為はお手軽な呪いなのだ。だから、人を悪く言えば自分も悪く言われてしまう。いや、自分で自分のことを悪くいうのか。

人は良い面よりも悪い面のことが目につきやすい。なぜなら、それは防衛本能だからだ。自分に不利益が来ないように悪いモノから自分を守ろうとする。また、目についた不利益を避けようとする。人を悪く言うと、今は自分のことじゃなくても、いずれ言われるのではないかと敬遠される。一度敬遠されると周囲から人がいなくなる。周囲に人がいない人は問題があると見られがちになり、評価されにくい。評価されにくいから人がよって来ない。悪循環に陥る。そうやって周りからの評価が下がり、結果として自分に不利益が生じるのだ。

その不利益は若い時ほど見えにくい。しかし、若い時についた評価は長々とついて回る。覆すことはかなり難しい。分かりやすくいえばそれは給与という形になって見えるようになってくる。仕事ができても評価されない人は安い給与で、仕事がそんなにできなくても評価される人は高い給与で働ける。そして昇進のスピードにも現れる。そうしてどんどん差が開いていく。

ここまで言えばお分かりいただけるだろう。他人を悪くいうことは、一転して自分の評価を悪くする行為に他ならない。多くの人は何よりも自分の感情を優先する。自分のことを悪くいう、もしくは、その可能性が高い人を評価したがらない。人間社会で生きる以上、これは当然だと思っておいてほしい。

自分のこと悪くいう人を正当に評価できるのはA.I.くらいだ。

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