第91話 『ラストバトル』 その3

 まりこ先生は、兄様を、睨み付けながら言いました。


 『いつまで、お芝居をしているの? 兄様。』


 兄様は、びっくりして、答えました。


 『え? なんの、話しかな?』


 新山悟は、となりの兄様を見上げながら、固まりました。


 『おかしい、おかしいとは、思っていましたが、さっきの、巨大洗濯機のなかで、ようやく真相の一端を知りました。白状してください。すべて、兄様の計略ですね?』


 『はあ? まりこさん、ぐるぐる回って、ちょっとおかしくなったかな?』


 『人類を怪物化して、地球支配を狙っていた。怪人さんは、兄様に、弱みを握られ、仕方なく荷担していた。』


 『はあ? ばかな。まりこさん、ぼくは、そんなこと、しませんよ。』


 すると、怪人が言いましたのです。


 『まりこ先生、あなたの兄様は、まさしく、怪物というにふさわしい。さっき、あの渦のなかで、あなたから、尋ねられたが、まあ、わたしは、まりこ先生の実力を、思い知らされた。わたしは、この人に、協力することは、もう、やめた。』


 『はは? 馬鹿馬鹿しい。なにを、ふたりで、言っている? あり得ないだろう。そんななことは。』


 すると、初代理事長が、驚いて言いましたのです。


 『なんと? それは、どういうことか? ならば、わたしは、何だったのか?』


 初代生徒会長も、驚嘆しました。


 『まりこ先生。それは、いくらなんでも、ないでしょう。あなたの兄様は、人間です。人間にこうしたことは、できない。あなたは、実際、この怪物に騙されているのではないですか?』


 初代生徒会副会長も、疑問を呈しました。


 『渦のなかで、何かがあったことは間違いないですね。しかし、まりこ先生の相手は、只者ではない。まりこ先生は、いわゆる、操り人形にされたのではないでしょうか? そのように、推測するほうが、はるかに、理が通っています。』


 しかし、新山悟は、思ったのです。


 『たしかに、この兄様は、なんだかよくは判らないが、おかしいと思ったんだ。』


 にもかかわらず、たくさんの真実を知っているはずの、件のラーメンやの主人は、まりこ先生を、支持したのです。


 『なるほど。うちにも、良く食べにいらっしゃっていたが、なんだか、情報収集というイメージがあったなあ。たぶん、おいらの正体を知っていたんだろうな。』


 『おやじさんの、正体?』


 新山悟は、訳が判らなくなったのです。


 そうなると、尋ねる先は、まりこ先生なのでした。


 『まりこ先生、どういうわけですか?』


 まりこ先生は、ちょっと上を向き、それから、きりっとした、厳しい眼差しで、これらの人(人ではないかもしれませんが。)を、見渡しました。



        👁️ 👁️

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