第92話 『ラストバトル』 その4
それから、まりこ先生は、にこりとしながら、言いましたのです。
『では、ご主人、あなたさまは、なんなのですか?』
ラーメンやの主人は、ちょっと不意を突かれたようでしたが、自分から言い出したこともあり、こう答えたのです。
『おいらは、この怪物たちの最初の形態の元祖の子孫、みたいなものだべ。』
『なんとな? それは、つまり、どういう意味なのかあ?』
新山悟は、そう、思いましたが、ますますわけわからなくなりました。
『最初の形態?』
まりこ先生は、柔らかく訊きました。
『そうだあ。この、怪人さんが、最初に試作した新しい人類だ。』
『なるほど。試作品ですね。兄様は、それも指示したのですか? いかがですか、大怪物様。』
大怪物と呼ばれた怪人は、いささか照れ臭そうに答えました。
『まあ、そうだったような。そうでもないような。依頼人は、実は分からなかったのだ。しかし、150年位は、まえかとは、思うが。いささか、退屈しておってな。理事長さんとは、別の話であるかもしれない。つまり、出来心だ。いや、正直なところ、良く分からないのだ。』
『150年? それも、初代理事長様の仕業ですか?』
『いや、わたしが、そいつを頼んだのは、100年ちょっとくらい前だ。おかしい。』
『兄様は、どうやって、頼みましたか?』
『そんなもん、知るわけ無いだろ。いや、まあ、確かに、その話しは、もしかしたら、まったく知らなくはないかもな。じつは、隠していたが、ぼくの爺さん、つまり、まりこさんの爺さんは、本当は正体が分からない。』
『なんですか? それは?』
『つまり、まりこさんの爺さんは、わからないんだ。ぼくは、亡き父からそれを知らされていた。まりこさんには、話さないようにと。この子は、つまり、いささか危ないからと。』
『あぶない?』
『そうだ。人並外れた力がある。それは、爺さん譲りだ。と。爺さんは、フランケンシュタインみたいな、つまりは、危険な生物学者みたいなもんだから、と。しかし、とうさんは、爺さんが何者かは、ついに、言わなかった。』
『ふうん。大怪物さん。図星ね。残念ながら。』
まりこ先生は、そう言いました。
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