第71話 『大将の正体』 その4

 『まりこ先生、強いな。称賛するぞ。しかし、わたしは、けっして負けない。』


 大将である、初代理事長は言いました。


 『なぜならば、わたしは、不滅だからだ。子供たちは、まだ、不滅ではない。不死ではあるが、傷は負う。それは、人民の苦しみを知る必要があるからだ。だが、わたしは、すでに、不滅であり、傷さえ負うことはない。つまり、わたしに、苦痛を与えることはできない。だから、きみには、勝てない。』


 『あら、じゃあ、あなたは、人々の苦痛は分からないわけね。』


 『理解はできる。さんざん、味わったからな。まりこ先生、あなたは、惜しい人だ。ぜひ、仲間に欲しい。普通の方法では同化できないようだが、それなりの方法はある。物理的な手術になるが、危険は少ない。わたしの、顧問として優遇さ、する。不滅を与えよう。』


 『ばかばかしい。不滅なんてありえないわ。宇宙もやがては、活動できなくなり、終わるに違いないわ。本来、不滅はあり得ない。お断りです。』


 『あわれな。わたしは、宇宙さえ越えるのだ。この宇宙は、ひとつの滞在先でしかない。人類の理論は、まだ、完全ではないのだ。しかして、きみは、逆らえない。わたしの力は、人間の想像外だからだ。さあ、どこからでも、きたまえ。わからせてやろう。』


 まりこ先生は、考えました。


 『たしかに、この怪物は、普通ではないのだろう。しかし、この世に、この宇宙に、存在するものに、弱点がないものは、ありえない。』


 まりこ先生は、タルレジャ拳法の、不動の構えに入ったのです。


 


 

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