第62話 『学園大戦』 その40
『なんと、恥知らずな。』
初代理事長が変じた化け物は、次男の醜態を蔑むように言い捨てました。
その言葉は、かなりの大きな声だったので、まりこ先生にまで聞こえたのです。
『連中は、人間らしい、思いやりとか、愛情とかが、欠如しているのかもしれない。』
まりこ先生は、考えました。
確かに、独裁者とか、支配者というものは、しばしば、そのような言動をするものではあります。
しかし、あのような大声で、会衆の前で我が子を罵るものでしょうか。
あの、初代理事長個人の性格なのか、彼ら怪物化した人間の基本的性格なのか、まだ、判断は仕切れませんが、『やな奴だよな』、とは、確実に言えそうです。
それでも、魂くんは、タンカの上で、意識朦朧としながらも、決まり通りに、次の誰かに、タッチしようとしていました。
それは、ある意味、見上げたものだと、まりこ先生は思いました。
彼は、もとから負けることなど想定していないので、もし、破れた場合の事など、考えてもいなかったし、それは、彼らの皆がそうだったようです。
でも、あっけなく、そうなった今、タッチを受けようとする者が見当たりません。
しかし、そのままだと、敗けを認めることになります。
長男さんは、父の隣で、憮然としています。
そこに、長いあり得ない腕を伸ばして、タッチを受けた人=怪物、があったのです。
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