第61話  『学園大戦』 その39


 悪魔と化した初代理事長の、その次男が、すくっと、立ち上がったのでした。


 なかなかの、2枚目なのですが、その真の姿はまだ分からないのです。


 すると、小型のティラノサウルスみたいな姿の長男が、弟に声をかけたのであります。 


 『おまえ、あんな教師、5秒、いや、一瞬で倒さなければウソだ。』


 『なんと? 兄うえ、気がつくまもなく、あいつは、死んでいる。』


 そう、言い残して、彼は試合場に上がりました。


 『ふふん。なにか、言い残すことはないかな?』


 弟は、さも偉そうに、見下げたように、まりこ先生に言いました。


 『さて、あなたのお名前をきいておきましょう。』


 まりこ先生は、平然と言いました。

 

 『おいらは、たましい。』


 『たましい、くん。素晴らしいお名前ね。』


 『ほざけ!』


 彼は、目にも見えないスピードで、まりこ先生に襲いかかりました。


 その、次の瞬間、観衆たちは、見たのです。


 地面に横たわる、なまず、みたいな怪物を。


 『おわ。何がおこったんだべ。』


 みな、自身が、怪物化した観衆たちは、唖然としました。


 『い、いまの、闘いを、スローで再生します。』


 司会が叫びました。


 すると、特にスクリーンがありそうもない、ただの空間に、今の出来事が、ゆっくりと写し出されました。


 魂くんが、まりこ先生の首を狙って、人間からなまずに変わりながら、その大きなお口を開けて襲いかかります。一発で、まりこ先生を喰い潰しそうです。


 しかし、まりこ先生は、その、お口のなかに右手を突っ込み、瞬間的に捻りを入れました。


 まさに、一瞬の動きです。


 魂くんは、あっという間に、延びてしまったのですが、死んではいませんでした。


 『なまず汁にしたくなかったら、はやく、介抱してあげなさい。』


 まりこ先生が、優しく言いました。


 すると、様々な怪物の姿の救急隊員が5人ほど現れて、魂くんの身体を、タンカに乗せて、場外に運び出しました。


 『まりこ先生、恐るべし。』


 誰かが言いました。


 

        

        🦕

 


 


 

 

 


 

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