第57話 『学園大戦』 その35
まりこ先生の元彼は、まるで、ぼろぼろの負け犬みたいにタッチしに帰りました。
しかし、まりこ先生の手のひらには、小さなメモ用紙が張ってありました。
これは、かつて、恋人をやっていたころ、よく使った、スパイグッズでした。
手のひらに張ったあと、五分程度で、ぼろぼろの屑になってしまうのです。
『本館の地下に、純粋水爆。一千万人起爆。再生は、10%なり。』
まりこ先生は、その道の専門ではありませんが、いわゆる水爆は、起爆するのに、核分裂、つまり、原爆を使います。
核分裂を使わないで、核融合爆発させるのが、純粋水爆らしいです。
もし、純粋水爆ができれば、より小型の核兵器が作れて、核分裂による放射性物質の拡散や、残留を減らし、一定の範囲内の人間を中性子によって、すぐではなく、被爆後暫くして殺すことができるとか。まりこ先生には、そんなものの利点がどこにあるのか判然としませんが、たとえば、占領政策には有利に働くのかもしれません。
しかし、核融合だけを起こさせる純粋水爆は、聞いた範囲では、まだ実現させた国はないようです。
『それが、あるというのかいな。まさかね。おろかな。でも、本当なら、もし、起爆したら、一千万人殺すというのかしら。それならば、普通の水爆で良いはず。再生は10%というのは、なおさら解せないな。よしよし、休憩しよう。たしか、付き人には、話しができるはず。』
まりこ先生は、手を上げて叫びました。
『休憩、休憩。』
主審がそれに答えて、両手を挙げて言いました。
『休憩❗ 二人分。10分』
『あらま、そういう仕組なんだ。ラッキー。』
まりこ先生は、用意された椅子に向かいましたが、ラーメンやの大将が、すかさず、側に寄ってきました。
そこで、まりこ先生は、メモの内容を大将に伝えました。
すると、大将さんは、こう、言うのです。
『そう言えば、その、噂は聞いたことがありますな。あまりに、麺が伸びてしまうような話なんで、気にしたことはないが。不滅の怪物を産み出すとかでしたが、核爆弾とは相反する話だしねえ。一応、兄様にスマホで伝えますかな。』
『ぜひ、よろしく。敵方になったとは言え、あいつは、変わった人だから、気になる。それにしても、あまりに、弱くて、相手にならないわ。』
『しかし、次に出るのは、初代理事長の次男ですよ。あれは、そうはゆかないと思います。超能力を使います。本来、試合で武器は使えないが、超能力なら、使用可です。つまり、超能力で武器を出すのは、オッケーですから。』
『そりゃ、初耳ね。なんか、インチキ臭いわ。でも、超能力なら、良いわけか。』
まりこ先生は、ちょっと、鼻をならしました。
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