第55話 『学園大戦』 その32


 『久しぶりだな。まりこ先生。』


 その、男と思われる人物、か、怪物か、が低く言いました。


 『そ、その声は?』


 『そうです。ぼくだよ。片山信介。』


 どわっ、と、男は被っていた長いつなぎのフードを放り投げたのであります。


 『むむ、信介くん。生きていたのか。まさか、生きていたとは、神ならぬあたしが、知るよしもない。』


 『そうだね。ぼくは、確かに一度死んだ。そうして、初代会長さんにより、生き返った。いま、こうして。』


 『なんと。』


 片山信介は、まりこ先生の、恋人だった。


 5年前までは。


 しかし、学園の秘密を暴くと宣言して、本館に忍び込んで以降、行方不明となったのです。


 『ミイラ取りがミイラになったのね。』


 『ちょっと、くすぐったい表現だが、まあ、近い。ぼくは、人類の秘密をみた。まさしく、驚異だよ。君にも、その驚異を知ってもらいたい。』


 ぐわわわわわあ!


 片山信介は、見るまに、怪物化したのです。


 それは、飛鳥の猿石のような顔をもち、身体はやたら手足の長いクロコダイルといいますような、奇抜な怪物であります。


 『うわ。カッコ悪!』


 まりこ先生が叫びました。


 『なにをかいわんやあ〰️〰️〰️❗』


 怪物化した片山信介は、まりこ先生に襲いかかりました。


 しかし、まりこ先生は、まさに無敵です。


 次の瞬間には、手足を括られ、動きがとれなくなった怪物の姿を、会衆たちは、見ることになったのでした。


 怪物化した片山信介は、転がりながら、タッチを求めたのです。


       🐊

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る