第52話 『学園大戦』 その29
『な、なんでありましょか。兄さん、この、仕組み。』
新山悟は、いささか、あきれた、という感じであります。
『まあ、いささか、アホらしいが、この鍵を開けよと言うわけだから、そうしようじゃないか。世の中の仕組みというのは、いささか、アホらしいものが多いんだ。政府が助成金を出すとか言いながらも、なかなか、簡単には出ない仕組みにしたり、一方で、もらうほうにも、巧みにうそついてもらったりして、結果、よけいに出なくしてみたりする人もある、まあ、色々なんだから。』
『高校生には、ちょっと難しいな。』
『そか? 選挙権ができたりしてるんだから、しっかりしなさい。』
『あい。兄さん、鍵を。』
『そ、そうだね。ここに、古典的な鍵がある。こいつに、この鍵をさしてだな。ほれ。』
がちゃ
『あ、がちゃ、と、言いました。くさりが、離れた!』
じゅわ〰️〰️〰️ん
その、蔵みたいな建物から、何かが回転するような音がしたのであります。
実際に、建物の周囲が、90度、回転したように見えました。
『あらまあ。どうなってるの。』
『つまりだな、この建物の中身は、円形になってるんだろう。ほら、あそこ、光ってる。』
『お〰️〰️〰️、兄さん。こりゃ、ほんとに、古いのかしら?』
『さてな。では、きみ、裏に回りたまえ。呪文を唱えなくては。』
『あれは、なんだか、やだなあ。』
『昔から、言いたくないことを、あえて、言わせられるのが、庶民の役回りなんだ。でないと、食えない。支配者は、それを、楽しみにするのです。』
『兄さん、そこまでは、考えてないすよ。』
『よしよし。しかし、覚悟は必要だな。この相手は、常識的な存在ではない。だいたい、世界征服みたいなこと考えるのは、あたまから、なにか、おかしいだろ?』
『たしかに。では、行きます。』
『ああ。元気でな。』
新山悟は、いささか足がもつれながら、向こう側に行ったのです。
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