第43話 『学園大戦』 その20
遮光器土器の姿をした、初代理事長とされた人物は、いまや、高らかに宣言しました。
『もろびとよ、喜ぶがよい。マイヤラの境地は、間もなく、全世界に達成される。我々の6つの地球周回衛星は、いま、目覚めたのだ。あと、5分で、強力な進化ビームが全地球を包む。人類は、マイヤラの境地に急速進化するだろう。もはや、戦争はなく、差別もなくなるのだ。あらゆる人類の姿は、見た目も、体の色も、各自まちまちになるが、それこそが、真の自由、真の平等に至る道なのだ。人類は、究極の幸福に至るのだ。うんじゃあまいやらあ!』
『うんじゃあまいやらあ。』
『うんじゃあまいやらあ。』
集まった人々は、叫んだのです。
街中で、叫びが上がっておりました。
・・・・・・・・・・・・・・・
『なんとまあ。意味不明な演説ね。でも、力はありそう。』
まりこ先生は、さらに、呆れたように言いました。
『歴代の独裁者は、みな、そんなもんだ。しかし、この怪物さんの言う通りなら、まずいな。パソコンは、切断したが、すでに、スイッチ入れてしまったみたいだな。なんか、対処法書いてないかいな。』
兄さんが、そう、言います、
『早い話し、この変化した本文は、暗号になってるわ。たぶん、複式喚字法だとは思うけど、時間はかかる。5分なんて、笑ってしまうわ。万事休す。四面楚歌。絶体絶命。我思うゆえに我あり。』
さすがの、まりこ先生が、吐き捨てるように言いました。
そこに、ひょっこりと現れたのが、ラーメンやさんの、大将さんだったのです。
『まいど。北欧まいやラーメンです。ご注文持ってきましたぜよ。』
『わ、いまのタイミングで? 誰が注文したの?』
『おいらだよ。』
まりこ先生の兄様が答えました。
『まいや、ラーメン?』
新山悟が、や、気がついた。という感じで言いました。
しかし、兄様は、無視するように大将に尋ねました。
『大将、なんとかならないのかな。』
『何とかしたいと? やはり、 そう、思いますかな?』
『だって、何の説明もなく、みんな、ひたすら怪物になれってのは、あまりに、理不尽でしょう。』
『ふむ。確かにね。まあ、このやり方には、あまり、賛成ではなかったんだがね。』
『え? 大将さんは、この事態を分かってるわけですか?』
『まあね。まりこ先生。あなた、あの怪物理事長と、一騎討ちする気があるかな。素手でだが。もしあるなら、仲介するぜよ。やつは、一騎討ちが好きだ。古いタイプだからなあ。それが、唯一のウイークポイントでもある。その気があるなら、進化プロセスを、多少は中断できるだろう。その間に、兄さんが、元を断ってしまえば、終わりになる。ま、騙し討ちだが、仕方がない。』
『良くわからないけど、一騎討ちは、好き。やります。』
『よっしゃ、よっしゃ。』
『あと、2分かと。』
新山悟が、口を挟みました。
『十分でやす。』
大将は、なんだか、歌舞伎役者みたいに、しっかりと、力みました。
💪
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