第39話 『学園大戦』 その16


 『兄様、すぐに、パソコン、止めて。』


 『止めたよ。でも、勝手に動いてる。』


 兄様は、ぼうっとしたように言いました。


 『電源切って。』


 『切ったよ。電池も外した。でも、勝手に動いてる。お手上げです。』


 『んな、へたな、オカルト番組みたいなこと、あるわけない。』


 『どこからか、エネルギーが、供給されてる。』


 『貸して!』


 まりこ先生は、備品の包丁で、パソコンをめった切りにしました。


 『ふう。止まったわ。もう、遅かったなんて言わないでね。』


 『オソロしやあ。』


 残りふたりが、震え上がったのです。



 その刹那、摩耶真の怪物が、まりこ先生に襲いかかりました。


 『きゃわ。通り魔!』


 まりこ先生は、摩耶真の怪物の腹に蹴りを入れ、頭を手刀で叩きおろし、右足で、あごにアッパーカットを食らわし、さらに、左足で、摩耶真の左足を掬ったのです。


 で、頭からひっくり返しになった摩耶真を、裸足で踏んづけました。(まりこ先生は、ヒールを脱いでいました。)


 『こらこら、やり過ぎないように。』


 兄様が、さすがに心配になったようですが、新山悟と、パソコンにつないでいた長い延長コードで、また伸びている摩耶真を、ぐるぐる巻きにして、転がしました。


 『さて。と。どうする?』


 『どうするって。言われても。こっちの努力は、みな相手のためになったとすると、ばっかみたいね。いっそ、怪物になりますか?』


 『なるなら、一斉でないと、まずいよ。センセ。』


 新山悟が言います。


 『この3人は、耐性があるみたいだよね。ぼくは、ここに来るまえに、ラーメン屋に寄ったんだ。』


 『寄ったのは、わかっております。』


 『大将に、直筆の手紙を渡した。』


 『あんな、きたなあい、字で?』


 『む。読めれば良いのだ。ベートーベンさんのなんか、読めないだろ。』


 『あれは、ドイツ語だから。』


 まりこ先生が、新山悟の頭を撫でました。


 『よしよし。』


 『ま、恐らく、大将は、助けに来るさ。間もなくね。』


 兄様は、クールに言いました。

 


        🍜🍥

 


 

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