第32話 『学園大戦』 その9


 すると、誰も、予想していなかったようなことが、起こりました。


 書物全体が、ざわざわと騒ぎ始めたかと思えば、びりびりと、振動を始めました。


 兄さんは、反射的に、持っていた本を、机の上に、放り投げました。


 『あらまあ。兄さま、粗雑な扱いをしたらだめですよ。』


 まりこ先生が、兄を叱りました。


 『そう、言われてもなあ。びりびりっ、と、来たんだから。』


 新山悟が、小さく叫びました。


 『み、みろよ。字が、字が、勝手に書き変わっている。』


 書物の中身のページが、猛烈な勢いで、自動的にめくられてゆくのですが、書かれている内容が、どんどんと、更新されてゆくようなのです。


 『ん、まあ。これは、びっくり。』


 さすがのまりこ先生も、呆れてしまいました。


 『まあ、パソコンみたいなものかな。第一次大戦直後に作られたなんて、信じがたい。』


 『やはり、先生、こいつは、うちう人。』


 新山悟は、宇宙人のせいにしたがります。


 『あのね、悟くん。うちう人のせいにするよりも、地球の誰かが作ったと仮定するほうが、遥かにあり得るのよ。』


 『じゃ、先生、誰だい、それは。』


 『いやあ、それは、まあ、これからよ。理事長あたりが、絡んでるのは間違いないわ。』


 『理事長さんは、何歳?』


 『たしか、78、とか。』


 『若いな。』


 『それは、先代から引き継いだに、違いないわ。』


 『ふうん。いや、ちょっと、調べてみたんだが……、それより、書き上がった中身を先に見るべきだな。時間はあましないだろ。きっと、攻撃してくるから。』


 三人は、顔を見合せました。



         👾ハロー!


 


 


 

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