第20話 『監禁』 その3
『おわお~。まりこ先生、お縄を受けよ!』
先生方は、まりこ先生に、殺到したのです。
ばたん!
休憩室の、すでに壊れはずのドアが、締まりました。
なんと、あのドアは、イミテーションだったのです。
誰も気がつかなかったわけです。
『こ、これは、マネキンです。』
『や、やられた。』
先生方は、女子休憩室に、監禁されました。
この部屋は、格子入りの窓で、まず、割れません。
入り口を外から塞がれると、まさに、監禁状態に陥るのです。
『おほほほほほ。誰に、喧嘩売ったか、分かってるわよね。はあ〰️ははははははは。きゃははははははははははははっは。』
まりこ先生は、あのブラック・ボックスと、パソコンを抱えて、その場から、去ってゆきました。
そうして、隣の、男子休憩室を占拠したのでした。
温泉旅館の客室みたいな女子休憩室よりは、いささか、かなり狭く、テレビも電子レンジも冷蔵庫もない、小さな窓は、御愛嬌程度で、つまり、ひどく差別された、牢獄みたいな、部屋なのです。
ダンゴ(男子)部屋と、呼ばれます。
しかし、この部屋には、実は秘密があると、まりこ先生は見抜いていました。
まず、念の為に窓枠と、出入り口を閉鎖テープで締め切ると同時に、換気口に、大事なケーブルを通すためのトンネルを設置しました。
閉鎖テープは、強力な接着力を発揮します。
人の力では剥がせません。特殊な剥がし液が、必要になります。
ブラック・ボックスを、狭い、暗い、押し入れ内に設置したのち、厳封したうえ、まりこ先生は、中央に、ででんと居座る、いかにも不釣り合いな重たい木製のテーブルを動かそうとしました。
やはり、ふつうの力では、びくともしません。
『やはりね。では、あの本にありました、暗号を唱えましょう。え・・・・』
まりこ先生は、一息入れた後、こう、コピーを読んで、唱えたのです。
もともと、暗号化されていましたが、まりこ先生の開発した、暗号解読ソフトが、あっさりと解読してしまったのです。
『天地開闢以来の暗闇に光をもたらしたまえ、開らけたまえ、明らかにいたしたまえ、こたえたまえ、ごりら、こあら、つちのこ、はだかでばねずみ、カワウソたちよ。アガヤパンダナギャラントナあ~~~~~。なんの、ことやらあ~~~めん!~~~クイニコウ!』
言いながら、ばかばかしくなった、まりこ先生ではありました。
しかし、その重たいテーブルは、ぎりぎりと、床の下に沈んでゆきます。
そうして、一筋の、地下に向かう階段が開いたのです。
『これが、いわゆる『黄泉の国』に至る道か。最後に、この最深部にパッドを装着しなくては。ブラック・ボックスからの有効距離は最大400メートルあたりとか。ま、きっと、ダイジョブよね。行きます。』
まりこ先生は、懐中LED電灯の光を頼りに、その地下に降りて行くのでした。
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