第14話 『学校の秘密』 その6
『とにかく、伝えましたよ、頑張ってください。じゃね。』
その、いささか、とぼけたような、事実上は幽霊と変わらないだろう老人は、勝手に姿を消したのです。
『まったく、自分勝手な。まあ、しかし、これまでのことから考えれば、茶番とは言い切れないなあ。あいつを、叩き起こすか。といっても、寝てるわけがないわね。労働時間の管理ができないんだから。』
まりこ先生は、スマホを使って、例の兄貴に電話を入れたのです。(あ、みなさんには信じがたいかもしれないですが、作者はいまだに二つ折りの電話ですよお。あれこそが、あこがれの『携帯電話』なんです。)
『くっそ~~~~~。しかとしてるなあ。何回でも、かけてやるう。』
それは、いささか、ストーカー行為に近いようです。
10回目くらいになって、とうとう、相手が諦めて電話に出たのです。
『なんだよなあ。何時だと思ってるんだあ。外国からかあ!』
『はい。ニュージーランドだもの。』
『くそ。』
まりこ先生のマンションは、『にゅーじ・いー・らんど』という名前です。
むかしは、保育園だったらしいのです。
『ちょっと、相談に乗ってほしんだけどなあ。高級ビーフカレーでいかが?』
『ふかひれ入りなら、考慮しよう。』
『いいわよ。』
『あらま、やけに素直な。なんか、あったのか?』
なんだかんだと言いながら、この兄は、心配はしてくれるほうだ。
そこで、まりこ先生は、今夜の概要を、つらつらと述べたのであります。
『ほう・・・・・、君の夢だろ。たぶん。』
『違うね。絶対に違う。ふかひれ入りビーフカレー二杯にしてもいいわ。』
『ふうん・・・・・・そりゃあ、豪勢な。で、どうしろとな?』
『大きなエネルギーが欲しいの。この、パルス兵器を、100万倍くらいに出来るような。』
『そりゃあ、地球が壊れるぜ。』
『まあ、冗談よ。でも、あの連中は、おそらく、あのパルス波に弱そうなんだ。でも、学校の地下から上まで全体をふるわせるには、大きな力が必要。あんたの、核融合実験炉を使わせないさいな。』
『まだ、完成してない。安定しないんだ。下手したら、この街ごと消えるかも。』
『いいわよ。世界がすくわれるならば。』
『あんた、過激だなあ。ふかひれ入りビーフカレー3杯ならば。』
『む、足元みやがって、もう。いいわよ。この際だ。』
『ふうん。相当の覚悟と見た。しかし、その発生装置は、そんなのに使えるのか?』
『すでに、大型のを用意してあるわ。でも、普通の電源じゃだめなんだ。』
『はあああ?』
『ふふふふふふふ。』
まりこ先生は、まったく、無敵なのであります。
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