第13話 『学校の秘密』 その5
『あのお、それは、なんれすかあ?』
老人の影が不審げに質問したのです。
『ふふふふふ。これは、先ほどのカードを発展させた持続的なパルスを送って差し上げる、まあ、カタモミ機です。ただし、その刺激は、ものすごおく強くて、拷問に使えるのでありますわ。もちろん。カタモミ機にも使えますけど。さまざまなパルス波形を生み出します。パッドを付ける必要がなく、約3メートル範囲の物質に狙いを付けられます。あなたには、効果があると見た、さあ、事実をおっしゃい。』
『あなたね、学校の先生でしょ。核弾頭作った先生はいたらしいが、拷問機は初耳だっぺ。』
『そうかしら。あなたがた、作ってたのよね。相手の脳に、情報を植え込む機械。そう書いてあった。あの本に。暗号ではあったけど。解いたわ。』
『それは、事実だっぺ。しかし、実験しただけで、実用はしてないんだあ。』
『生徒で実験してたんだから、十分よ。しかも、今も、使ってるんじゃない? 先生方に。』
『おいらではない。ふう・・・。そこまで見たなら、しかたないなあ。自分は、そうしたやり方が納得できなんだ。だから、仲間を裏切って、脱出したっぺ。で、あなたに、情報を流しに来たんだあ。』
『それならそれで、最初からきちんと説明して、順を追って、ついついと話しなさい。小出しにするのは、むかし気質の日本人の悪い癖よ。』
『楽しくないべ。少しずつ出すのが、喜びなんだっぺ。』
『ば~~~~か。まあ、でも、告白に来たのなら、そこは、褒めてあげましょう。で、あなたは、元理事長の影として、ほかの連中は?』
『学校法人の役員たちだっぺ。今、仕切ってるのは、当時の副理事長だあ。影になると、永遠にとは、言わないが、人類の最後以降も、十分生き延びるだあ。太陽が巨大化しても、ダイジョブなはず。その、エネルギーは、暗闇だっぺ。光は、害にはならないけど、役には立たない。長い時間、実存の姿を保つには、大きなエネルギーの消費が必要になるから、あまり、やりたくない。というか、出来にくいだ。』
『ふうん。いまひとつ、良く分からないなあ。人類をどうすると?』
『選別するだあ。支配者としての影と、被支配者としての奴隷とだあ。選別するのは、役員会のメンバーだあよ。まあ、幹部に登用する少数者を選別すれば、それでよい訳だっぺ。また、あとから、奴隷の中から、役に立つのを転用も出来るから、便利なんだあな。それは、あなたが言うように、世界まとめて、いっぺんにやるだあ。『影気波』を、あなたの学園から、強力な信号として、ネットに乗せて、地球中に、バラ撒くだあ。』
『そんなこと、いつやるって?』
『当初の計画では、あすの深夜、12時だあ。』
『なんと、阻む方法は?』
『ないっぺ。ネットを全部破壊できたら、別だがなあ。それかあ、影気波を打ち消す波を、送り出すだあ。かなり力がいるっぺ。難しいだろなあ。一番簡単なのは、学校の、あの天井裏の基地を破壊することだあな。そのエネルギー源は、地下にあるから、そっちを叩く方がいいけんど、まず、潜れないだっぺ。』
『核融合実験機のエネルギーならば、できるかも。』
『なぬ。核融合? 成功していないっぺ。』
『ほほほほほほほ。その影気派(波)のデータを出しなさい。それとも、いっぺん、びりびりしてみっかい?』
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