第12話 『学校の秘密』 その4


 『くせもの。そこに直れ。レディの部屋に侵入するなど、言語道断。成敗いたす。』


 まりこ先生が豪語しました。


 それから、トランプの様な物体を、影に向かって乱射したのです。


 それは、まりこ先生が開発した、生体プラズマ放射カードでした。


 生き物のエネルギーに反応し、相手のエネルギーを使って、その身体に、瞬間的に強いパルスを与えます。


 まあ、護身用の武器みたいなものです。


 『おわああ~~~~。しみたあ~~~。うがあ。・・・・待った待った。あの、おじゃまします。悪意はないだ。』


 『きさま、なにものか?』


 黒い影は、へなへなと、そこに座り込むと、一瞬だけ、ネガからポジに変わりました。


 おひげがあるが、いくらかとぼけたような表情が可愛らしいおじいさまです。。


 しかし、またすぐに、影に戻ってしまったのです。


 『むむむ。その姿は、どこかで見た様な。』


 まりこ先生は、考えました。


 それから、ぽんと、両手を打ったのです。


 『あ、そうだ。うちの学校の、創立者に似てるんだわ。校長室の壁に掛かっている。』


 『ふう。さすが、良く分かったですな。その通りだべ。』


 『でも、その人は、100年前には、亡くなっているはず。幽霊などあるはずもなし、やはり、くせもの!』


 まりこ先生は、追加のカードを乱射しようと構えました。


 『まて、まて。私は、ネガだ。ネガとして、この世に残っている。』


 『なにを、わからんことを言っている。ならば、創立者の暗号を述べてみよ。』


 『む。そなた、なぜそれを知っている。』


 『調べたから。』


 『む、あの本を見たのか?』

 

 『見たわ。』


 『むむむむ。一冊だけ、壁の中に隠したのだが。』


 『先日、剥がしたときに、出てきたから、いただきました。』


 『むむむ、よかろう、言おう。〈もっともっと、光をください。〉』


 『ふうん。くだらない暗号にしては、その通り。』


 まりこ先生は、構えを解き、あぐらをかきました。


 『ここに来たからには、それなりの覚悟があったのでしょう?あたしが誰か、分かってきたのよね。』


 『さよう。あなたは、わが競合校であった、『カー・ミナリ学園』の理事長の子孫ですな。』


 『ほう。さすが。あなたの策略で、潰された学園です。いまは、落ちぶれて、破産しました。』


 『あれは、国の秘かな指導があったからだよ。当時は、そういう時代だった。あの学校は、当時、秘かに民主主義を教えていた。』


 『怨んでるわけじゃない。事実を、知りたいだけよ。』


 『ふむ。しかし、今は、それよりも、喫緊の課題があるだ。』


 『ほう。では、まず、それを、教えなさい。』


 『もっと、丁寧に言いなさい。あそこの教師なんだから。創業者には、敬意を示すものだよ。』


 『じゃあ、教えてくださいな。』


 『まあ、いいか、よいかな、わが、かつての同胞たちが、この世界の、ネガ化を行わん、としているのだっぺ。すべてが影となり、彼らがのぞむもの、だけが実体となる。あとは、実質のない存在。実体のない影、すべて、彼らがコントロールするようになるのだあ。』


 『はあああああ? またまた、たわごとを言うわね。』


 まりこ先生は、マッサージ器みたいな四角い機械を、ベッドの下から、取り出したのです。


 そうして、こう言いました。


 『ふふふふふふ。ははははははははは。侵入者よ、良く聞け!』


 


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