第11話 『学校の秘密』 その3


 まりこ先生は、自宅のマンションに帰りました。


 まあ、マンションと言えば、聞こえは良いですが、いわゆる、アパートです。


 六畳ひとまに、バス、トイレだけ。

 

 学校の先生にしては、本棚にあるものは、かなり、少ないです。


 もっとも、まりこ先生は、パソコン内に、多数の書物を詰め込んではありますが。


 オカルト・テレビ番組のように、何かが現れることも、なく、極めて、当たり前の生活でありました。


 ある意味、無視される存在であるために、自宅に仕事を持って帰ることはなく、喧嘩するとかなり、強いこともあり、余計な干渉はされにくいようでした。


 あまりに悪質な押し売りさんを、背負い投げして確保し、警察に引き渡したこともありました。


 しかし、ついに、その晩には、そこにあるべからざる存在が、現れたのである。


 まあ、慌てないで、ゆきましょう。


 昼間に起こったことや、学校のあかずの場所について、また、役立たずの兄から聞かされた話などを、なんとか、まとめようとしたのです。まりこ先生は。


 『いやあ、だめだ。オカルト的な考えしか出てこないなあ。まてまて。ここは、科学的に考えなくては。ゆうれいさんなど、いるとは、思えないぞ。ならば、必ずや、合理的なげんいんがあるはず。やはり、学校の過去が問題だ。ネットに、資料がないかな。』


 まりこ先生は、自分の職場に関する資料を当たりました。


 なにしろ、古い学校なので、ゆうれいさんの噂は、ぼつぼつとあります。


 曰く、顔が飛び出す絵画が隠してある。


 夜中に、戦争時代に、空襲で亡くなった学生さんの亡霊がでる。


 本館の最上階は、悪霊の棲みかである。


 『まあ、あのときの状況から見ても、まんざら、全部嘘という訳ではないかも。』


 まりこ先生は、夜中に、本館の最上階に侵入したときのことを、復習しながら、考えました。


 『もっとも合理的な解釈は、いまだに、誰かが、ねぐらにしているということね。学校の幹部は、そこに、荷担している可能性が高いか?なんしろ、殺されかけたんだから。いま、警察に依頼するとしても、学校側から、否定されるだけだ。でも、兄さんの結果が出たら、それも、証拠になるならば、考えるべきだな。』


 ぼおっとしていると、時間の流れは早くなる。


 もちろん、心理的時間ですが。


 『丑三つ時かあ。寝た方が良いかしら。やれやれ。』


 まりこ先生は、なんと、着替えもせずに、ベッドにひっくり返りました。


 『シャワーは、朝にしよう。』


 小型液晶テレビをつけっぱなしにして、メインの照明は落とし、300ドリムで買った、LEDライトを、『中』の位置で灯したのです。


 『はあ、やりやり。』


 まりこ先生は、寝付きが悪いです。


 寝られるまでの長い時間が、実に重要なのです。

 

 真実を、見抜く時間だから。


 おや、窓側に、なにか、いるような。


 めを凝らして。


 影だ。明らかな、影。光を失った、残り物だ。


 暗い、存在だ。


 『ゆうれいさん? まさかね。ほら、あんた、なにしに来たのよ。不法侵入よ。』


 黒い影は、なにも、いわずに、佇んでいます。


 まりこ先生は、ふっと、気がついたのです。

 

 昼間に見た、あの、一瞬、表れた老人。


 影は、どうやら、あの姿に一致しそうだ。


 間違いない!


 そう決まったら、まりこ先生は、待たない。即、攻撃である。


 『あなた、昼間のおじさんね?なにを、言いたいの。聞いてあげるわ。ただし、危険行為は禁止。言いたいのなら、早く言いなさい。はい、シャキッとして! か〰️〰️〰️〰️つ❗』


 

 ・・・・・・・・・・・・ 👻


 



 


 

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