第10話 『学校の秘密』 その2
その、不気味なおじいさんは、まりこ先生に追い越されがてら、つぶやいたのです。
『おそろしいことが、起るべな。』
『はあ?』
まりこ先生は、老人を振り返りました。
しかし、その姿は、すでになかったのです。
『おわ。不吉なものを見てしまったかなあ。幻影だろうな。おかしな薬を飲まされたし。後遺症かも。』
あくまでも、現実的な、まりこ先生なのです。
『帰って、休もう。今日は。』
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学校内の、あの怪しい部屋です。
影たちが、話し合っていました。
『ついに、この時間を制圧する時が来た。』
中でも、一番、影が濃いものが、言いました。
『先生、しかし、あの教師はどうしますか。おっつけ、勘ずくかもしれません。』
『うむ。今のうちに、やはり、排除すべきだな。先般は失敗したようだが。』
『あい。意外と、悪運もあるようです。』
『悪運尽きれば、速やかに消えさるべし。悪運など、長続きはしないものだ。』
『あい、先生。次の手を打ちます。』
『うむ、それにしても、あいつがいなくなったのは、気になる。どこに、逃げ込んだか。まだ、わらぬか?』
『はい。あくまで、影である以上、姿を現せるのは、一瞬のみ。』
『む。一瞬たりとも、気は抜けぬのだ。とくに、今回のように、突飛な相手にはな。』
『あい、先生。』
『まあ、それは、そう気にすることもなかろうて。この時間がすべて手に入れば、もろもろの雑事は、それに絡まって収まる。決行は、あすの深夜、12時とする。よいな。各自、持ち場を死守せよ。』
『あい! 先生。』
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